理屈では理解できないほどツイてる人間だから、ということしか言えないよ。
ついてる人は目標を持つ必要がない?
一人さんは、事業を立ち上げたとき、年何月までに売上を何%上げて、何年後には授業を今の何倍に拡大する、といった目標を一切口にしたことがありませんでした。
その当時、私はまだ指圧師をしていて会社経営とは無縁の生活を送っていましたが、超vipな方が訪れる某治療院に勤めていたことから、色々な経営者と交流させて頂く機会があったんです。
だから、経営者というものは目標を持っているものだ、という固定観念があったんですね。
それで、私は、目標を持たない一人さんのことが気になって、
「ところで一人さん、目標を掲げるべきじゃないの?
会社経営とは、そういうものでしょ」
といったことがあるんです。
その時、一人さんはこんなことを言ったんです。
目標っていうのは自分が決めるよね。
自分が決めるって、人間の頭で勝手に決めるんだよね。
でも、人っていうのは、ミエナイチカラの影響を受けているんだよ。
なのに、勝手に「ここまで」って決めちゃうと、本当はその上へ行けるのに「ここまでで」止まっちゃうじゃない?
だから、目標は持たない。
それに、目標を持つ必要がないの。
だって、俺、ついてる人間だから。
私は、びっくりしました。
と言うか、呆れてしまった、と言った方が正しいのかもしれません。
何故って、ついてるから目標を持つ必要がないって、理屈になっていませんから。
ところが、この言葉の後、一人さんはこういったんです。
それにね、今でも俺は幸せなんだよ。
だって、俺が幸せそうにしてると、周りの人もみんな幸せそうな顔になる。
俺と出会ったことを喜んでくれる人がいるの。
俺は思うんだよ。
最終的な幸せって、人が喜ぶ顔じゃないかなって。
人が喜ぶ顔を見ているとね、この仕事しててよかった、生まれてきてよかったって思う。
その嬉しさが、俺の心を豊かにしてくれる。
やっぱり、感激して涙流す人生が一番いいよな。
感激できない人生なんて、つまらない。
俺はそう思うんだ。
この言葉に、私はすっかり感動してしまい、
「ついてる人は目標を持つ必要がない」
という言葉の意味を尋ねる機会を逸してしまいました。
ところが、それ以降、ひとりさんの会社は年間7倍ずつ利益を増やす、全国高額納税者番付にも顔を出すようになりました。
私は、現実として、あの言葉を受け入れざるを得なくなってしまったのです。
でも、どうして目標を掲げていない一人さんに、そんなことができたのか。
私には、そのことが不思議で仕方がありませんでした。
そこで、そのことを一人さんに追求すると、一人さんは。
目標を持つことが悪いことじゃないんだよ。
こんなことを言うと、世間の人から怒られるかもしれないけれど、実は俺も、
「旅を楽しめるぐらいのお金を稼げるようになりたいけれど、みんなが顔を知っているような金持ちにはなりたくない」
「自分の会社を持ちたいけれど、会社には行かないで済むようになりたい」
とかって考えていたんだよ。
ただ、世間の人がそれを目標と言わないだけのことで。
だから、その程度の目標なんだけど、成功しちゃった。
どうしてそうなったのかは、自分でも分からない。
理屈では理解できないほどツイてる人間だから、ということしか言えないよ。
追伸 達成したい目標は低くする!?
Q ゲーム感覚で仕事をするというお話ですが、目標ゲームっぽく言うと、「本を累計100万円部売るゲーム」みたいなことですか?
斎藤一人さん
そういうのもいいと思うよ。
でも、一番いいのは、もし今、2万部ほど本が売れているとするならば、その次は、「3万部売るゲーム」あたりにして、確実に叶えられる目標にするんだ。
そうすると、目標がクリアできるからお祭りができるんだよ。
そして、次は、4万部、5万部という風に、少しずつ目標を高くしていく。
成功というものはね、喜びを味わいながら達成していくものなんだよ。
それを最初から100万部とかにしちゃうと、ステップごとのお祝いができないことになってしまうよね。
わかる?
だから、まずは、自分の手が届きそうな目標を立てるんだよ。
俺がよく行っていたのは、今より売上を1万円あげるっていうゲームだったね。
そのゲームを命懸けでやっていると、1万円売り上げるための知恵がたくさん出てくるからね。
何と言っても、商売において、お金を儲けることよりも大事なのは、損をしないことなんだよ。
だから、会社を大きくするよりも、潰さないことが大事なんだ。
それが仕事というゲームの基本ルールなんだよ。
そして俺は、そのゲームを始めてから、一度も赤字を出したことがない。
何しろ、突然大きいことを考えると、必ずそこには投資が必要になるのだから。
でも、売上を1万円だけあげるゲームだと、そこまでお金をかける必要もない。
「いつも笑顔でいよう」とか、「紙はリサイクルしよう」とかそんなことでいいんだよ。
すると、そんな知恵で売り上げが1万円どころか10万円アップすることもある。
そして、それがうまくいったら、今度は、また次のゲームを考えるんだ。
これをずっと際限なくやるんだよ。
一度にどんと大きく上に積み上げたものは、何かあるとすぐに崩れてしまうけれど、こんな風にして一段ずつ積み上げていったピラミッドは、絶対に崩れないんだよ。
夢を大きくしても、努力が小さかったら叶うわけないからね。
Q 確かにそうですね。
一段ずつ、着実に上に上がっていくべきですね。
斎藤一人さん
それに、お祭りって大切なんだよ。
俺たちはね、食事する時の乾杯だって「おめでとう」って言うからね。
今日ご飯が食べられて、乾杯できることが楽しみであり幸せなの。
Q サラリーマンでもそんなの気分を味わっている人達はいますね。
アフター5になると、居酒屋でビールを飲んでいる人たちなんかは、幸せそうですよね。
斎藤一人さん
それが、その人たちにとってのその日の乾杯なんだよ。
その日は仕事が少し早く終わったとか、取引がうまくいったとか、何らかのことを達成したんだよ。
Q 目標がかなうとお祭りのようにお祝いするというのは、どの世界でもそのまま活かせますね。
斎藤一人さん
何かを達成したら、「おめでとう」でも、「バンザイ」でも何でもいいんだよ。
お金もかける必要はないしね。
だって、ご褒美に何かものをあげるようになると、それが目当てになっちゃうからね。
そして、もっといいものが欲しくなっちゃうの。
だから、「バンザーイ」だけがいいの。
お金で人が動くと思っている人は素人だよ。
そんな方法は、長続きしないしね。
だから、1万円を達成できた人は花を一個つけてあげたり、3万円達成できた人は花を3個付けてあげて、「バンザーイ」を3回やるとかね。
Q バンザイなら、誰でもどこでもすぐにできますね。
斎藤一人さん
そんな簡単なことでいいんだよ。
でも、そんな簡単なことは意外と誰も行ったりしないんだ。
逆に、難しいことを考えてしまったりしてね。
でも、叶えやすい目標にしておくほど、まさかって思うようなすごい結果が出たりするんだ。
目標を叶えるのは、山登りと同じようなもんだよ。
岩場なんかに上がる時は、手は常につかめる場所を探しているし、足だって引っ掛けられる場所をいつも探しているよ。
あんまり高いところを見つめたりしたら、絶対に上がれないよね。
Q そうですね。目の前の一歩が大事ですね。
斎藤一人さん
そして、1歩ずつ上がっていると、あるところで、軍と限界を超えられる時がやってくる。
そうすれば、1万円アップを目標にしていたって、突然、大きなお金が入ってくることもある。
俺はそんなことが面白くてしょうがないんだよ。
一人さんは売れる商品を「ポン!!」と出す
こんな風に、一人さんは不思議な人ですが、そのひとりさんが創業した銀座日本漢方研究という会社も、よくよく考えると、実に不思議な会社です。
研究所とはいうものの、それらしい施設などなく、研究員も一人もいません。
あるのは、斎藤一人という人間、ただ一人。
しかも、一人さんの仕事は商品可愛いはずなんですが、その本人も研究していません。
試験管を振ってる姿はおろか、腕組みして考え混んでいる様子も見たことがありません。
では、どういう風に商品ができてくるのか、と言うと、ものの数秒で出てくるんです。
どういうことかと言うと、一人さんとドライブしたり、食事をしたり、雑談をしている時に、突然、一人さんが、
「今から、膝とか腰が心配な人のための商品を作るよ」
と言って、この素材床の素材を、これこれこういう割合で配合する、ということをメモに書く。
これで商品開発は終了です。
それで、一人さんの言葉を記録したメモ工場へ持って行き、商品ができてしまう。
ですが、その商品は、決していい加減なものではありません。
東洋医学の食養生では陰と陽のバランスをとることを重要視しますが、一人さんが開発した商品はその理論にきちんと則っています。
また、現代人はビタミンやミネラルが不足していると言われていますが、その点についてもきちんと考慮されています。
ところで、ビタミンやミネラルというのは、西洋の科学ですよね。
陰陽などの食養性は、東洋の実践科学。
専門の方からお話を伺うと、西洋の科学と東洋の実践科学を両立させるものは生半可なことではできないということなんですが、一人さんは一つの商品でこれを実現させてしまう。
しかも、その商品がひとたび世に出るや、口コミでどんどん広がるんですよ。
私には、そのことが、これまた不思議でたまらないんです。
通常、商品開発と言うと、マーケティングから始まって、色々な素材を集めたり、コスト計算をしたり、サンプルを作って検討したりと、ある程度の時間と費用、労力を費やして、ひとつの商品を作り出すものだと思います。
ましてや、人が健康のために口にするものですから、熟慮に熟慮を重ねるのが当然でしょう。
それが、一人さんの場合は、たった数秒で済んでしまう。
頭の中で考えると、とても信じ難いことなんですが、私の目の前でこういうことが何度もありました。
現実がそうだから認めざるを得ないんですが、どうしてこういうことができるのかが知りたくて、一度、一人さんに尋ねてみたんです。
すると、一人さんは笑って、
「なぜかは分からない。
分からないけど、そうなんだよ」
と言うだけ。
こんな説明で、皆さんは納得しますか?
私にはできません。
「一人さん、ふざけたことを言わないで、きちんと説明してくださいよ」
私がそう言うと、一人さんは、
「あくまでも斎藤一人流のやり方だけど・・・・」
と言いながら、こんなことを語ってくれました。
他の会社がどうやって商品開発をしているかは知らないよ。
だけど、俺の場合、例えば、膝や腰のことで困っている人がいるとして膝や腰のことで困っている人がいるとして、
「この人にはこういいう商品が必要だな」
っていう、種みたいなものをまず頭に植えるんだ。
そうすると、しばらく放っておいても後で必ず答えが出る。
頭に入れちゃえば、勝手にその種がクツクツって動いて、それを探し出す。
そうじゃなかったら、牽引の法則で引っ張って出てくる。
要するに自分に出てこないものは、
「こんなものをはいかがでしょうか」
って、持ってきてくれる人が出てくる。
長年、研究して、悩んで悩み抜いた末に出てきてて、その時、
「あの時の苦労があったから、商品化にこぎつけられたんだ」
と思う人もいると思う。
だけど、俺の場合は、脳に一度インプットしたら、後で勝手に出てくるんだ、という理論でやってる。
だから、脳を信じて、出てくるのを待ってるだけなんだ。
1年後に出てくるものは、1年後に出てくるようになっている。
苦しもうが、何しようが、人間の脳っていうのはそういうふうにできているの。
ただ、楽しいことしていた方が、1年後に出てくるはずの答えが半年後に出てきたりする。
まぁ、いずれにしろ、いいアイデアというものは、ある日突然「ポン!」と出るようになっているんだ。
えみちゃんはそれが不思議だと言うけれど、この地球が自転していることも、どうしてなのかをじっくり考えて出てきたことじゃないんだよ。
ある日、突然、
「あっ、地球が回ってる」
って、「ポイ!」と出た。
だから、いろんな発見・発明は、最初は「ポン!」なんだけど、それを証明するのに時間がかかるだけなんだよ。
それで、実は、こういう「ポン!!」は、誰にでもあることなんだ。
一人さんにそう言われて、自分の日常を振り返ってみたのですが、確かの「ポン!」はある。
例えば、ハイキングで山道をさまよっていて、目の前に二つの道が出てきた時に、なぜか、
「こっちの道で大丈夫だよ」
といえてしまった、とか。
それ以外にも、結構、ちっちゃな「ポン!」が色々ある。
でも、お客さんに喜ばれる商品を「ポン!」と出すとなると、普通はなかなかできない理由で・・・・・・。
どうして一人さんにそれができるのか、その極意を教えてもらおうとしたのですが、一人さんは、
「えみちゃん、いい加減、もうこの話はやめよう。
商人は働いてナンボの世界で生きてるんだから、仕事をしよう。
俺も、明日は1ヶ月ぶりに自分の会社に出るら・・・・」
と、話を打ち切られてしまいました。
残念・・・・・・。
でも、よくよく考えれば、商品開発は一人さんの仕事で、私の仕事ではない。
だから私は、私の人生の中にある「ポン!」を楽しむことにしています。
追伸 運命の分かれ道、成功率5%!?
昔から、一人さんは、言ってるんだけど。
何を思うかで、人生って、全然変わっちゃうんだよ。
いつも、つまらないことを考えてると、「世の中、つまんないよな」と言っちゃうようなことが起きるしね。
逆に、楽しい人生の人は、いつも楽しいことを考えてる。
不幸な人は、全力を挙げて不幸な考えをしてるんだよ。
成功者は、実に成功者らしい考えをしてる。
じゃあ、成功者らしい考えって、どういう考えですか?
これは人から聞いた話なんだけれど。
例えば、新しい店が1年間で100軒、できるとする。
そのうち、10年後も残っているのはいくつかというと、5軒ぐらいらしいんだ。
「厳しいですね」という人の目から見ると、確かに厳しい世界だよ。
だけど、成功する人は、それを聞いてもワクワクしてるんだよ、血湧き肉躍る、というか。
ちなみに、一人さんの場合はどうかと言うと。
納税額日本一というのは、1億2000万の中の、たった一人。
この確率の低さに比べると、100軒のうち5軒って、すごい成功率が高い。
だから、嬉しくてしょうがないんだよ。
「100のうち、ハズレが95個もあるなんて!」と思っている人はうまくいかない、それ以前に商売はできないんです。
成功者は「外れ馬券が多くなればなるほど、当たった時の儲けはでかいんだぞ」とか思ってワクワクしてる。
わかりますか?
仕事がうまくいく人というのは、「100に5つしか残れない]と言われたぐらいで参ったしないんだよ。
「一発当てて家を買うぞ!」とか、「儲かったら外車を買って、いい女を隣に乗せて」とか、欲を燃やしながら、タッタ、タッタと行動する。
だけど、その間も、自分の知らないうちに、脳はぐるぐる、ぐるぐる勝手に働いてるんです。
そして、やりながら、ある日、「ポン!」とアイデアが出る。
そうすると、思いついたアイデアをやって、思った通りにいかないことも、当然あるんだよ。
だけど、うまくいかないことがあった時は、「このやり方では成功しないことが分かってよかった、ツイてるな、次は、他の方法を試してみよう」と考えるんだよ。
そうすると、必ず成功する答えが見つかる、そういう風になってる。
自分には、どうしたって、答えを出せないような気がするんです・・・・・・あなたが出せなくたっていい。
脳に任せておけば勝手にやってくれるから、いいんです。
知ってる人もいると思うけど、「牽引の法則」というのがあるんだよ。
人間の脳には、コンピューターを凌駕する、ものすごい力がある。
自分が思ってることを引き寄せる力を持っている。
いいことでも、良くないことでも、思ってることは何でも実現しちゃうんだよ。
だから、「自分にはできないけど、脳にはできる!」。
そうやって、自分の脳に言い聞かせるの。
そしたら、本当に脳にはできる。
だからアイデアが出たら、とっとと、それが正しいかどうか試す。
成功というのは、これの繰り返しをしていればいい、それだけなの。
一人さんの日常は、お金持ちになる前からゴージャス
一人さんは学生の頃から、いつも、どんな時でも、
「俺は幸せだよ。すごいハッピーだよ」
「ツイてるな」
って言っていました。
「ああだったらいいのに・・・・・・」
とというように、人を羨んだりすることは 、一度もありませんでした。
例えば、 一人さんの愛車だった国産のライトバンに同乗させてもらった時のこと。
後ろからベンツが走ってくるのを見て、一人さんを嬉しそうな顔をしてこう言いました 。
「 えみちゃん、後ろ見て。
どうだい、俺のライトバンはすごいだろ。
後ろにベンツを従えて走ってるよ 。
それから、私が一人さんに、自分の将来の夢として、庭付きの一戸建てを買うという話をした時も、一人さんには驚かされました。
「庭にはバラのアーチがあって、緑の芝生の上に白いテーブルと椅子を置いて、優雅にお茶をいただくのよ。
ところで、一人さんは将来、どんな家を買うの?」
私がそういった時、一人さんはこう答えました。
「ん? 俺は、別に家を買いたいとは思わないよ」
当時はまだ、男子たるものは一戸建ての家を構え、一行一城の主になるのが常識とされていましたから、私には一人さんのこの発言が意外でした。
それで、
「女の私でさえ家を買おうと思うのに・・・・・・。
一人さんは、男でしょ」
と言ったんです。
その時、一人さんはニコニコしながら、こう言いました。
「えみちゃんは、それが欲しいんだから、それを手に入れるためにがんばればいいんだよ。
だけど、俺は別に欲しくない。
それに、そんなことをしなくても、俺、自分の庭を持ってるからね」
私は、一人さんは冗談を言ってるのかと思いました。
「一人さん、おかしなこと言わないでよ」
私がそう言うと、返ってきた返事がすごい。
「おかしいでしょ。
でも、俺にとって、千葉は俺の庭なんだ。
千葉の海は、俺の心の中では俺のプライベートビーチ。
山もあるよ。
公園だってある。
道路もある。
どう?
ゴージャスでしょ。
管理費になんて全然かからないの。
だって、国や自治体が行ってくれているんだもん。
掃除までしてくれて、本当、俺はツイてるな」
すごいエピソードもあります。
専門学校を卒業し、それぞれ別の道を歩き始めた時、一人さんと青森を旅することになったんです。
その時、一人さんが竜飛岬をプレゼントしてくれたです。
皆さん、私の言ってることがおかしいなことだと思いませんか?
私は、そう思います。
当時の一人さんは、竜飛岬どころか、ビルを買うお金さえ持ってなかったんですから。
だから、一人さんが、
「日本にはいいところがたくさんあるけど、その中から君が好きな場所をプレゼントしてあげよう。
どこがいい?」
といった時、私は自分の耳を疑いました。
「一人さん、本気で言ってるの?また冗談でしょ」
私がそう言うと、一人さんはニコニコしながら、
「本気だよ、どこがいい?」
というので、私も半信半疑ながら、こう答えました。
「そうね、竜飛岬をプレゼントしてもらうかな」
すると、一人さんはこう言いました。
「うん、分かったよ。じゃあ、今から車で竜飛岬まで行こう」
私は一人さんに促されて車に乗り込みました。
そして、竜飛岬へ到着。
すると、一人さんは、満面の笑みを浮かべながら、
「えみちゃん、お待たせ。はい、どうぞ」
と・・・・・・。
私の頭の中は、 大混乱です。
「どうぞ、って言われても・・・・・・」
どんな言葉で一人さんに対応すべきなのか、何も思い浮かばなくて困っている私に、
「黙って見てればいいんだよ」
と一人さん。
私は気が抜けて、大笑いしてしまいました。
だけど、なぜか、ものすごくハッピーな気分になりました。
一人さんが、ニコニコして、楽しそうにしているから。
仲間の社長達も、一人さんと旅している時に、色々なプレゼントをもらっているんですよ。
「あの灯台は、みっちゃんにプレゼントするよ。
今日からあの灯台は、みっちゃん灯台だよ」
「あの島は、はなゑちゃんにプレゼントしよう。
あれは今日から、はなゑ大陸だ」
「この広大な野原は、じゅんちゃんへのプレゼント。
ということは、あそこに立ってる小屋はじゅんちゃんの別荘だな」
一人さんは、やっぱり変ですよね。
でも、こういう旅をしていると楽しいですよ。
追伸 不平を多くして、もの流れる
一人さんが自分の事業を成功させ、日本一のリッチ版と世間から言われるようになった今も、一人さんのこういう性格は変わりません。
一人さんは高級料亭で懐石料理を食べることもありますが、路地裏の小さな定食屋でアジの開き定食などを食べ、
「このアジの開き定食はすごいよ。
このアジの開きは、漁師が沖に出てアジを獲って、開いて、塩をして、干して、それを市場で仕入れて、それを焼いて出てきたんだよ。
こんなすごいものを食べられるなんて、すごいハッピーだよ」
と、嬉しそうな顔。
最近では、電子レンジで「チン」するだけの、一人さん曰く、チンご飯にも感動していて、
「電子レンジってすごいんだよ。
科学を総集結させて、チンが可能になったんだよ。
チンこそは、科学の最先端。
だから、そのチンご飯もすごい。
天下の将軍、徳川家康だって、チンご飯を食べたことがなかったんだよ」
何て言っています。
世間の人の中には、そういう一人さんのことを、
「不満がないなんて、大した人格者」
という人もいるのですがという人もいるのですが、
「俺はそんなに立派な人間じゃない。
不満に思うことっていっぱいあるよ。
それで、人間っていうのは、
不満がある動物何だ。
だから、不満があって正常なの」
と、世間の風評などどこ吹く風です。
でも、一人さんは、実際、一言も不満を漏らしたことがない。
それが一人さんのキャラクターであることは百も承知であるのですが、その一方では、
「こんな矛盾が成り立つんだろうか・・・・・・」
という疑問も私の頭の中にありました。
ある日、その疑問を一人さんにぶつけてみたところ、一人さんはこんなことを話してくれました。
俺は、不満っていうのは神様がくれた遊び、知恵の輪みたいなものだと思ってる。
例えばだよ。
路上で生活している人は雨露しのぐ家がないことを不満に思う。
だけど、そういう生活が嫌だからって奮起する。
それで、風呂なし、トイレは共同の四畳半のアパートに住めるようになって、
「ああ、よかった。幸せだな」
って、一時期は思うけど、しばらくすると、
「やっぱり、トイレはついてた方がいいな」
って、不満が出てくる。
夫婦でもそうだよね。
自分の弟子が真面目な人間だと、
「面白くない人ね」
と言うけど、亭主が遊んでて、家を顧みなかったりすると、
「ふざけた亭主だ」
とか言う。
でも、一生懸命働いて、お金を稼いできても、
「お金を稼げばいいってもんじゃないでしょ」
なんだよね。
それで、亭主が総理大臣になっても不満なの。
「大臣になったからって偉そうなことを言うけれど、自分一人じゃ何もできないじゃないのかよ」
とかって。
それから、病気になると、
「健康がありがたい」
って言うけど、健康な状態がずっと続くと、
「休みの日なのに、家でじっとしているのは面白くない」
とかって言い出すんだよね。
だから、人間っていうのは、何をしても不満なの。
それが人間、人間は不満な生き物なんだよ。
不満があることが異常だじゃなくて、不満があって正常。
不満があれば、ほぼ間違いなく生きてる。
それが俺の持論なの。
問題は、この不満を嘆くだけになっちゃうか、この不満をどうやって解決するか、どっちをとりますか? ということだと俺は思うんだよね。
昔と比べたら、今の日本って、車はある、冷蔵庫はある、クーラーはある、何でもある。
徳川家康よりもゴージャスな暮らしをしてるんだよ。
だけど、それでも不満があるんだよね。
どうしたって不満は残るんだよ。
だから、不満を嘆いているだけじゃ苦しいんだよ。
だけど、この不満をどうやって解決しようかって思えば、人って動き出すんだよね。
そういうことを、「不平を多くして、もの流れる」って言うんだね。
不平っていうのは、平じゃないっていうことでしょ。
シーソーを思い浮かべてごらん。
バランスが取れている時は、シーソーは平ら。
そこに玉を置いても動かないよね。。
だけど、シーソーがぐっと傾いてくれば、玉は動き出す。
幕末だってそうでしょ。
不平不満が多かった下級武士達が行動を起こした。
だけど、上にいる人たちは満足しているから動かなかった。
当然だよね、平らなところで玉が転がるかって、転がるはずないもん。
だから、不満っていうのは、そんなに悪いものでもないの。
それで、神様は、俺たち人間に不満に思う能力をくれたんだよ。
俺は、そう思ってるの。
だから、不満を利用して面白く生きる。
不満が出てきたら、それを楽しく解決しちゃうゲームにするとか。
ついでに人の不満も解決しちゃって、みんなで
「幸せだねぇ」
とか言いながら、お互いハッピーになったりさ。
不満っていうのは嫌なもんだけど、嫌だと思った同時に不幸が始まる。
なくならないものを嫌だと思うか、面白いと思うかのどっちかだね。
面白いと思えば、いろんないいことが起きる。
奇跡なんかいくらでも起きるよ。
それで、俺は面白いと思える。
何で勝手、そういう性格に生まれてきちゃったもん、しょうがないよ。
単なるキャラクターの話なんだよ。
それに、こういうことは、良い悪いじゃない。
それが証拠に、別にこういう考え方がなくたって生きていけるじゃないか。
あえて言うとしたら、こういう考え方はエレベーターみたいなもんだね。
エレベーターがあると3階ぐらいまですっと行けるけど、エレベーターがない時代は、みんな階段で行ってたんだよね。
その頃はそれで、足も丈夫だったし、いいこともあったんだよね。
追伸 人は皆、困難を乗り越える「ア」字の子、とは?
生きていると、自分の予想に反するいくつもの出来事に遭遇します。
例えば、aという場所からbという場所までタクシーで移動するのに、いつもは10分しかかからないはずが、時には渋滞に巻き込まれて30分かかってしまうとか・・・・。
それから、科学の力をもってしても予期できない出来事というものも色々あります。
地震などといった、いわゆる天災がそうです。
ところが、信じられないことに、一人さんは、科学の力をもってしても予期できない出来事を事前に言い当てたこともありました。
それは何かというと、阪神淡路大震災です。
本当にこれは不思議な話で、誰も信じてくれないのですが、震災の数日前、一人さんは旅先でこんなことを言っていたんです。
「いきなりこんな話しするのもなんだけど、この前、八戸、八の戸に地震があったよね。
それで、水戸沖、水の戸に地震があった。
この他に戸がつく場所と言ったら、神の戸。
次は神戸に地震が来るかもしれないよ」
もちろん、私には一人さんの言葉が信じられませんでした。
関西には、自信がないものと思っていたからです。
そのことを一人さんに言うと、一人さんはこう言いました。
「災いは忘れた頃にやってくるって言うよ。
むやみに怖がるのもなんだけど、そういうこともあるんだよね。
だけど、えみちゃんの顔には死相も出てないし、大丈夫だね」
一人さんが「大丈夫」と言った以前に、私は関西には絶対に自信はないとか固く信じていたので、そのことについて深く追求しませんでした。
そして、私は大阪へと戻ったのですが・・・・・・。
ところが、何がどうしたのか自分でもわからないのですが、胸騒ぎがしてしょうがないんです。
別に急ぎの用事があるわけではないのに、なぜか早く仕事を片付けなきゃいけないような気がする。
仕事を片付け、夕方、自宅に戻ってからも、このままここにいてはいけないような気がしてしょうがない。
二日後には仕事で上京する予定になっていましたが、別にその日の夕方に上京する必要など何もないのに、
「東京に行かなきゃいけない」
と思ってしまうんです。
自分で、自分をおかしいと思いましたが、いてもたってもいられず、すぐ東京の知り合いに電話をして泊めてもらうようお願いし、最終の新幹線に乗って東京へと向かいました。
そして翌朝、起き抜けの私の頭に、知り合いの人のこんな声が響きわたりました。
「柴村さん、大変よ。
神戸で地震があって、長田区辺りがすごいことになってるんですって。
大阪の方は大丈夫らしいけれど・・・・・・」
一瞬、私は、これは夢だと思いました。
でも、残念ながら、それは現実以外の何ものでもありませんでした。
私は、スタッフのことが気になって、大阪の本社へ電話しました。
スタッフたちの生存は確認されましたが、中には地震で自宅が倒壊してしまった人がいるとのこと。
「社長、申し訳ありませんが、社長のご自宅を避難場所として使わせていただけないでしょうか」
そう言われ、私は気軽に承諾しましたが、スタッフ達が私の自宅マンションに行くと、マンションには亀裂が入り、裏手にあったビルも倒壊。
もちろん、私の自宅内部も、ダンスから食器棚まで倒れ、めちゃくちゃになっていたとのこと。
「食器は全部粉々になってしまいましたので、申し訳ありませんが全て処分しました。
でも、社長、ツイてましたね。
あのまま社長がマンションにいたら、タンスの下敷きになって怪我をしていたか、最悪、亡くなっていたかもしれませんね」
とはスタッフの弁。
本当に、私はツイてる人間だと実感しました。
でも、またここで疑問浮上です。
「どうして一人さんは、神戸に地震が来ることが分かったんだろう?」
そのことを確かめるべく、一人さんに電話を問いただしたのですが、
「俺、そんなこと言ったっけ? ごめんね、覚えてない。
多分、えみちゃんのことを守ってくれてる守護霊か何かが、俺の口を借りて恵美ちゃんにそのことを伝えたんじゃないの?
だから、俺より、えみちゃんの方がすごいんだよ」
と、一人さんはきょとんとした様子。
そして、私も、しばし呆然。
しかし、誰が当てたとか、どうやって当てたとか、そういう話をしている時ではありませんでした。
「ああ、そうだ、それより、対策、対策。
すぐ大阪へ戻って、陣頭指揮取らなきゃ。
いつか、このことについてはとことん話し合わせてくださいね」
そう言って、私は受話器が置き、大阪へ戻りました。
「俺たちは『ア』字の子供だからね。
どんな困難も乗り越えられる。
信じてるよ」
電話の最後にひとりさんがポツリと呟いた、この言葉を胸に抱いて・・・・・・。
斎藤一人さんの話を纏めました。
皆様、いつもご精読ありがとうございます。
お世話になっております。
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我が儘勝手で申し開きもございません。
上記の赤色のボタンを押してくださいね。
お手数ですが、遠慮なさらずに押して欲しいんです。