人口比率に応じた売上で一番になった人が自分の好きな国(県)を担当地域にできる
活気に満ち溢れるスタッフ
大阪に上陸した私は、「新たな修行」という名の壁にぶち当たることになります。
それは「事務所が見つからない」ということでした。
その頃はバブル真っ只中で、びっくりするほど物件が高く、ここもダメあそこもダメ。
物件を探して歩き回るのですが、足が腫れて次第にパンパンになり、マメが潰れて膿になるまで歩いても、ものすごく高い物件しか見つからなかったのです。
その時、そびえ立つビルを目の前に「ここは、なんて大きな都市なんだろう」と思いました。
「こんな凄いビルに入れる人ってどんな人なんだろう」
「でも絶対に私もここで成功してみせる」と、商人としての志を新たにしたのでした。
そしてやっとの思いで見つけたのは、下町の大通りから外れた、8畳一間の木造アパートの一階。
大家さんが一階で古本屋さんをやっていたのですが「お店をやるなら1回の方がいいでしょ」と2階に移動してくれたのです。
そしていよいよメンバー四人でスタート!!
すぐに活気に満ち溢れたものになりました。
それぞれオペレーターとなって電話を掛けるのですが、とにかく部屋が狭いので、お互いにうるさくて電話の声が聞こえません。
片方の耳を塞いだり机の下にもぐったりしながらすごく大きな声で喋っていました。
でもいいところもあって、うるさいのは活気となり、お互いの良いトークは真似し合えるので、みんな話す事に説得力が増していきました。
そして夜はみんなでご飯を食べに行くのが日課。
「今日はこんな嬉しいことがありました」
「こんなお客さんにどうしたらいいでしょう」とワイワイ話し合い、スタッフの絆は自然と強くなっていきました。
そんな中、どんどんスタッフも増え、大きくなっていく私達の会社を間近で見ていた大家さんが、「私はもう古本屋の仕事を辞めますから2階も使ってください」「皆さんを見ていたらすごく楽しそうだから、私も何か手伝えることがあったらやらせて下さい」と言ってくれたのです。
この方はその後、配送センターの主任となり、何年間も顔晴ってくれました。
会社の気運も高まっていく中、それでもたまに「社長!! 今日なんか駄目です、うまくいきません」というスタッフが出ます。
そんな時は決まって「外で人の幸せを願っておいで」と言ってあげます。
そして「この人にすべての良きことが雪崩のごとく起きます」とやり終えたスタッフはすごくいい顔して帰ってきました。
私はこの北海道と大阪府の二つの国(担当地域)をもらい、そうこうするうちに一か月でなんと1億円の売り上げを達成するのです。
そして他のまるかん社長達との「国取りゲーム」(人口比率に応じた売上で一番になった人が自分の好きな国(県)を担当地域にできる)は続いていきます。
無借金経営でショールーム展開
この頃には一人さんのもとに集まった他の社長の仲間たちが、各自住み慣れた土地から遠く離れたところで障害をスタート。
私と同じように奮闘していました。
そして一人さんから集合がかかっては集まって、報告をしあったり作戦会議をしたりしました。
それがまるかんの「渡り鳥経営」の始まりとなったのです。
その中で、これまで通信販売から一挙に方向転換する時がやってきました。
それは目の前でお客さんに手にとってもらい、見て触ってもらって商品を知ってもらうお店、ショールームを作ることになるのです。
「せっかくだから、見たこともないようないい家具に囲まれて、座ったことのないような椅子に座って喜んでもらおう」という一人さんの愛ある思いから、まずは仲間の社長達とヨーロピアン家具の問屋さんに行き、買い占める勢いで家具を揃えました。
そして出来上がったのは「ここは高級家具のお店ですか」とビックリされるほどのお店だったのです。
ひとりさんの号令がかかると社長達は全員「それいけ~」と一斉にやり始めるので、日本中にどんどんお店ができていき、私は2年間で25店舗を構えることになりました。
その時ももちろん「無借金経営」。
家具はすべて現金で買い揃えていたのです。
そして「お店の雰囲気が高級すぎて入りにくいですというお客さんのために一人さんから教わったのが、家具よりすごい最高の笑顔と言葉、愛される雰囲気づくりでした。
励まされながら挨拶の訓練
そして「お前達も一人前の社長になったんだから、挨拶ぐらいできるようになるんだよ」と、お店がオープンするたびに挨拶をする場を一人さんが設けてくれました。
どぎまぎしながらもなんとか舞台に立って話をし、その度に一人さんは「立っただけで偉い」とか「最初より上手くなった」と言って励まし続けてくれました。
でも実は、私は長い付き合いの中で一人さんが人前でスピーチするのを見たことがありませんでした。
だから、「一人さんってどんな挨拶するのかな」と、すごく興味があったのです。
そんな時に、大阪でのショールームをオープン式典がありました。
それは紅白幕を張って業者さんやスタッフが何十人も集まる、いつもより大きな式です。
その時初めて聞いた一人さんの人前での挨拶は、その場にいた人全員を魅了してしまう、あまりにも見事なものでした。
凄すぎて、その後の自分の挨拶をすっかり忘れてしまうぐらいでした。
ちなみにその時「俺もこれから人前で話すことを避けられない時代がやってきた」というつぶやきを、私はしっかりとキャッチしています。
人を喜ばせることが大好きな一人さんの発想で、こんな楽しいこともありました。
銀座のショールームがオープンした時、帝国ホテルで初めてパーティーは行ったのです。
その時ひとりさんと男性社長達はタキシードを着て、私たち女性陣はドレスを着て、世界で25台しかないという、一人さんのミントブルーのロールスロイスのオープンカーで会場へと向かいました。
道行く人は「なんだ、なんだ?」「一体誰なんだ?」と大騒ぎ。
二度見どころじゃなく「五度見」でした。
本当に一人さんは、私たちが体験したことのないようなことを、いつも味わわせてくれます。
現在に至る特約店業務スタート
全国各地のショールームの売り上げも、もちろん上々。
こんなに喜ばれるのならお店をもっと広げようということで、いよいよ現在にまで至る、特約店業務が始まるのです。
そこで私たちは経営コンサルタントとなって、お店の作り方と経営のノウハウを一から教えていく立場となりました。
その時は昼夜の説明会でも間に合わないくらい、まるかんの特約店をやりたい人が殺到。
なぜなら同時期に、一人さんが納税日本一の快挙を達成しとげていたからなのです。
その中には、お医者さん、薬剤師さん、整体師さん、他にも大きな会社の社長といったオーナーが勢揃い。
思えば指圧師だった頃に、自分よりずっと立場が上だと思っていた人たちばかりだったのです。
そのオーナーに向かって私が喋るのは勇気がいるものでした。
けれどそんな時一人さんは「肩書きに惑わされて人と自分を比べるんじゃないよ。
比べるのはいつもちょっと前までの自分。
そこから成長しようと思って行動した時に、いつのまにか群を抜いているんだよ」と。
確かに一人さんに教わってここまで黙々とやってきた自分は、一人さんの納税日本一と同時に、全国86番という快挙を成し遂げていました。
そうだ、ここまで来られて自分がいるんだということを思い出し、自信を持って目の前に人に伝えていったら、みんな真剣に私の話を聞いてくれました。
中にはやれば簡単にお金が儲かると思っていた人もいましたが、そういう人は全員、去っていきました。
一人さんのことが大好きで、その一人さんが作った商品が大好きで、商売の基本からコツコツとやり続けてきた人たちだけが、今も全国で特約店として活躍しています。
人を辞めさせるのも社長の仕事
「社長業は何でも勉強になるんだよ」と一人さんに教わってやってきた中で、仕事を始めた頃にこんなこともありました。
スタッフの間で温度差が出てきたのです。
私のことが大好きだと言ってくれ、何でも言うことを聞いて即やってくれるスタッフと、「なんでそんなことをやらなきゃいけないんですか」と頭で考え、お給料分子が働きたくない精神のスタッフ。
そのグループ同士がいつも対立し、事務所の雰囲気が悪くなっていたので一人さんに相談すると、思いもよらぬ言葉が返ってきました。
「えみこも社員をクビにする行がやってきたんだな。
これは社長の最初の修行で、どうしても避けられないものなんだよ」と。
そこで、思い切って何でもやってくれる働き者のスタッフだけを残すと、あまりの変わりようにびっくり。
人数が半分に減ったにもかかわらず売り上げは倍増し、活気のある最高に楽しい雰囲気の事務所になったのです。
この残ったメンバーこそが、新しい件に乗り込んで開拓していく時に、主力となってどこでも飛んで行ってくれたメンバーなのです。
さらに驚いたのは、各地でスタッフを募った時に、そのメンバーのもとには、同じく働き者のメンバーしか集まって来なかったことです。
そうでない人は入ってきたとしてもすぐにやめてしまい、結局働き者だけのチームが出来上がり、仕事効率は上がるばかり。
売り上げはどんどん上がっていくという現象が起きたのです。
そんな中で面白かったのは、やる気のある前向きな社員には前向きなお客さんがつくのに対して、不平・不満を言っている社員には不平・不満ばかりを言うお客さんがつくのです。
そしてその時、不平・不満を言っている社員はそのことに気づいて天国言葉や前向きな言葉を使い出すと、途端にいいお客さんがつき出すという現象が起きました。
日頃から楽しく明るい波動に包まれて仕事をすることの大切さを、私はここで知りました。
追伸 「一つ上」が一番成長できる
「普通以上」って何かって言うと、「一つ上」なんです。
階段で例えるなら1段上。
5段も10段も上じゃないんだよ。
多くの人は、いきなり何段も上に行ける方法へのノウハウを求めるんだけど、あなたにとって重要なのは、常に「一つ上」なの。
それは商売のコツも一緒です。
商売にコツがあれば、それは教えられるんです。
ところが、コツってないの。
だから、儲かってる会社でも2代目、三代目ってなると、潰れるところが出てくるんだよ。
歌舞伎や芸事って、コツがあるから教えられるんです。
だから8代目とか10代目って続けていくことができるんだよね。
商売にコツがない上に、時代も変わるから、常にその変化に合わせて行かないとダメなんだよ。
例えば、昔はお家のために命をかけるのは、当たり前だったんです。
でも、今はお家のために、って命をかける人はいないんです。
時代によって価値観が変わるから、経営者はそれに自分を合わせられるだけの度量が問われるの。
それに経営っていうのは個人戦だから、経営者同士で競争しながら、常に時代の変化に対応するスピードも必要なんです。
さらにこれからの時代は、個人の能力に「プラスアルファ」が問われるの。
簡単に言えば、芸能人みたいなものなの。
社長としての魅力論なんだよ。
魅力があれば、どれだけ不便なところでも、会いに来てもらえるんだよね。
だから、これからの時代は、「能力」プラス「魅力」をどうやって「一つ上」にしていくかなんだよ。
おがちゃんに昔、「笑顔が大切だよ」って教えたの。
そうしたら、おがちゃんは24時間、ずっと笑顔でいることを考えたんだよ。
もちろん、それも魅力なの。
でも、笑顔には、さらに上の笑顔があるんだよね。
例えば、はなゑちゃんなんかだと、いつも普通の顔をしてるけど、目が合った人にはニコッとするんだよ。
そうすると、あった人は「私に微笑んでくれた」って思うんだよね。
その笑顔が惚れちゃうような笑顔だと、もっといいよね。
さらに達人になると、大勢いる中で右側の方を向いて笑顔を送ると、その方向に人たちがみんな「私に微笑んでくれた」と思って、その人の虜になるんだよ。
プロでも、上には上が必ずいるんだよ。
笑い方一つでも上があるし、常に上があるの。
だから、今の自分の「一つ上」を目指すことが、私たちの魂が一番成長することなんだよね。
斎藤一人さんの話を纏めました。
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