コンクラーベ

斉藤一人さんです

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斉藤一人さん 寄らば大樹の陰

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「寄らば大樹の陰」という意識は依然として根強いようで、学生の人気就職先ランキングでも、大企業が上位を占めています。

公務員人気も相変わらずです。

それでも、意識は確実に変わりつつあります。

 

 

寄らば大樹の陰とは、頼りにするのなら、勢力のある者のほうが安心でき利益もあるということのたとえ。

 

「大きいほうが勝つ時代」は終わったんです!


「10年くらい前から、価値観の大きな転換期に入っている。

これからの時代、大きいだけのところはダメになる」

時代の流れを読んで、斎藤一人さんはそう判断しているようです。

確かにここ数年、大企業の倒産や経営破綻、経営危機というニュースが、よく報道されていました。

あまりにその数が多いので、最近ではもう慣れっこになってしまった感がありますが、よく考えてみればこれは異常なことです。

大手メーカーが経営難から次々と外国メーカーの参加となっていく業界があるかと思えば、例えば証券業界ではかつての4大証券も昔日の面影はありません。

流通業界を見ても、スーパーでは西友が、外国企業の傘下に入ってしまいました。

今ではその異常さが分かりにくくなっていますが、15年前くらいにはこれらの出来事のどれひとつをとっても想像すらできなかったはずなのです。

例えば、15年前に、

「日産にフランス人社長が乗り込んでくる」「声優が外国企業の傘下に入る」

などと誰かに言っていたら、「えーっ、あんな大企業が?そんなこと起こるわけがないよ」

と笑われてしまったでしょう。

それほどに異常な事態にもかかわらず、みんなが慣れてしまったのは、その数の多さだけに理由があるわけではなさそうです。

私たちの中に、これらの事態がすでに予想されたことだという意識があるため、そして驚かなくなっていることも、その一因だという気がします。

こうした大企業の倒産が起こるたびに、「バブル崩壊の影響」「膨大な不良資産」
「金融システムの動脈硬化」などという言葉が、マスコミによって呪文のように繰り返されてきました。

そうした言葉を何度も耳にするうち、私たちはいつのまにか、「この異常事態も、大元をたどれば全てバブルのせいだ」と思い込んでしまっているのかもしれません。

ところが、同じ現象を、一人さんは全く別の視点から見ていたようなのです。

「歴史の流れの中で、今、価値観が変わってきているんだよ。

『大きいものは有利』。

何百年も昔から、ついこの間まで日本を支配していたのは、この価値観だったんだよね。

これは戦国時代や江戸時代の頃からすでにあって、それが明治政府の頃にも継承され、現代にも続いていたんだ。

その価値観が、10年ほど前から変わり始めているんだよ」

この一人さんの見方は、次のような歴史認識から来ているようです。

戦国時代には領地を拡大することが、戦国の覇者になる道でした。

また、江戸時代には徳川幕府が最大の領地を持っていたため、日本全国を支配下に置けました。

そして明治政府は、藩という小国を統一し中央集権国家という大きな国となることで、欧米の国々に対抗しようと考えたわけです。

第二次世界大戦に敗れた時も、日本の人々はアメリカが日本より大きな国だから負けたのだと考えました。

そして、戦後から現代までその価値観は続き、より広い土地を持っている人、より大きな組織の方が有利だと、みんなが思っていたのです。

組織が大きい方がいい。

土地は広いほどいい。

銀行も大きな方がいい。

メーカーも大きな方がいい。

また、組織が大きいから、民間よりも政府の方がいい。

こんな具合に、大きなものほど上だという認識があったわけです。

この意識がバブル経済の根底にもありました。

あの頃は、企業も個人も競って土地を買い集め、大企業の株を買いあさりました。

政府もそれに歯止めをかける所か、助長させてしまった。

「大きなものは有利だ」という価値観を疑わなかったために、みんながバブルの危険性に気づかなかったのです。

ところが、今、状況は一変しています。

現在は、無駄に多くの土地を所有している人や企業ほど、苦労しています。

大企業が次々と倒産し、国家は大赤字です。

大きいものの有利さは、次々とその実体を失っているわけです。

この事実は、大組織への信頼感を徐々に失わせ、従来の価値観を揺るがせていると、一人さんは見ているようなのです。

このように、一人さんは「日本人を支配していた価値観」という視点から、大企業の崩壊を頻発するという異常事態を分析しているわけです。

もちろん、「大きい方が有利」という価値観が変わり始めたからといって、人々の意識から、直ちにそれが消え失せるということはないでしょう。

「寄らば大樹の陰」という意識は依然として根強いようで、学生の人気就職先ランキングでも、大企業が上位を占めています。

公務員人気も相変わらずです。

それでも、意識は確実に変わりつつあります。

大企業を就職先にと考えていても、かつてのように、その企業が決して倒産しないなどと思っている学生は、もういません。

公務員を志望する人でも、「絶対安心だから」などと思っているのは意外に少数派ではないでしょうか。

「もう、大組織には信頼感も安心感も感じられない。

でも、他に何を基準に選べばいいのか分からないから、とりあえずここを選んでおこう」

彼らの本心を代弁すれば、こんなところかもしれません。

つまり、寄らば大樹、という学生たちの選択にさえ、不安感が見え隠れするのです。

今、なんとなくみんなが、「銀行の不良債権処理が完全にすめば・・・・・」「景気がすっかり回復すれば・・・・・」と思っています。

でも、それさえ済めば、昔のようになるのでしょうか。

私たちは、「潰れない」と思っていた大企業が次々に倒れていくのを見ました。

あれほど「堅い」と信じていた大銀行が意外と脆く、倒産さえするのを見ました。

不良債権がなくなったからといって、本当にもう一度、「大企業は安心だ、大銀行は絶対に潰れない」と信じられる日が来るとは、到底思えません。

私には、一人さんの言うように、「大きいものが有利」という価値観が確実に揺らぎ始めているように思えるのです。

「大企業と言っても要は商いだろう。

商いとは屏風は広げすぎると倒れる」

というわけです。


「一人勝ち」は結局、相手次第。
「ひとり勝ち」は自分次第、だから強い


価値観が転換してから、次はどんな時代へと向かうのでしょうか。

一人さんに尋ねたところ、こんな答えが返ってきました。

「次に来るのは、「ひとり勝ち」の時代だよ」

一人さんが勝つから、「ひとり勝ち」。

はじめはそんなジョークかと思いましたが、これはそういう意味ではなく、もっと別の意味で大真面目に言っているようです。

実は、「ひとり勝ち」という言葉は、「大きいものが有利」という価値観と表裏の関係にあるようなのです。

そして、「ひとり勝ち」とは何をかを考えていくと、「大きいものが有利」という価値観がなぜ失墜していかなければならないのか、その理由となるもう一つの時代の流れを知ることになります。

まず、「ひとり勝ち」とはどういうことなのか、一人さんはあるエピソードを例に説明しています。

「この前、熱海の人に会ったら、熱海にカジノを作りたいという話をしていたんだよ。

そのためにみんなで政治家に働きかけていると言うんだ。

なぜかと言うと、それは「一人勝ち」じゃあないからなんだ。

熱海中のホテルが潰れても、うちは平気だ。

自分のホテルだけは繁盛している。

そういう状態を目指すのが、「ひとり勝ち」ということなんだよ。

今までは、何をやるのも「みんなで」ということだった。

みんなで話し合って、みんなでルールを決めて、みんなで実行する。

このやり方だと、意見調整が必要になる。

それぞれが自分の事情を言い立てて、「私はこれはできない」「私はこうだ」そんな事ばかり言う。

これからの時代、これでは時間がかかりすぎて、チャンスが逃げていってしまうんだよ。

よその事情がどうあれ、自分はやる。

みんなで決めるのではなく、自分で決めて自分で実行する。

そして、結果を出すんだ。

これが「ひとり勝ち」ということなんだよ。

世間でよく言われる「一人勝ち」は、一人だけ勝って、成果を独占することを意味しますが、そうではありません。

要するに、「ひとり勝ち」とは、衆を頼まずに自分一人でやることが勝ちにつながるということのようです。

そして時代は、「ひとりで勝つ時代」になったということなのです。

このことは、個人の「自己責任と実力本位の経営」の時代になったともいえるでしょう。

熱海の例に限らず、従来の日本的な経営では合議制が普通でした。

みんなで話し合って決め、みんなで実行する。

このような合議制では、くだされる決定には不服を言いにくくなります。

そのため、突出したリーダーがいなくても、そこそこのレベルの意見に達することができるのです。

しかし、意思決定から実行までどうしても時間がかかってしまう、結果に誰も責任を取らないといった短所もあります。

これに対して、意思決定から実行までを経営者がひとりで決める場合、何かが起こった時に素早く対応できるという長所があります。

その反面、独断で行われるので、その決定のマイナス面が見えにくくなる、恐怖的な独裁体制に陥るといった短所はあります。

そのため、このやり方で成果を上げるには、経営者に、そのマイナス面の影響を小さくする実力も必要になるわけです。

このように、「自己責任と実力本位の経営」とは、個人経営的なやり方だと言えます。

現在は経営環境が目まぐるしく変化しています。

そのため、ミスが少ないという合議制のメリットよりも、個人経営的な手法の持つスピードというメリットの方が重要だということになるわけです。

これが、「ひとり勝ち」という「自己責任と実力本位の経営」が優位だと、一人さんが判断する根拠の一つなのです。


ひたすらかっこいい・ひたすら早い
売れる商品には「ひたすら」が必ずある


「ひとり勝ち」の経営をすると、ビジネスに「スピード」というメリットが出てきます。

ただ、有利な面がこれだけのことならば、すでに同じような事を言っている人も少なくありませんし、あまり目新しいことだとは思えません。

ところが、「ひとり勝ち」の特徴を、「大きいものが有利」という価値観と対比した時に、新たな長所が浮かび上がってくるのです。

大企業では大量生産が可能なのに対し、個人経営では顧客に個別に対応できるのが強みです。

つまり、同一商品を何十万、何百万と生産するには大組織が有利ですし、細かな要望に応じて小ロットでいつでも何百市でも用意するのは即断即決の個人経営でなければ難しいことです。

また、大組織では多角的な意見を生かした完成度の高い商品ができますが、個人経営では思い切った判断ができるので、面白さを追求できるという良い面があります。

例えば、壊れにくく、運転しやすく、誰もが嫌味に感じないデザインという風に、どの面を見ても欠点の少ない車というのは大企業でこそ開発できます。

しかし、他の面には目をつぶって、ただひたすら速い、とにかくかっこいいなど、一つの長所に力を注ぐような車の開発は個人経営でなければ決断しにくいでしょう。

また、細分化された小さな市場に商品を投入するようなビジネスは、小さな企業でなければ採算が合わず、商売になりません。

大組織の場合、商品を安定的に供給しやすいのも長所です。

これに対し、個人経営は決定の速さを活かし、時代の変化に応じた新しい商品を素早く作り出せるメリットがあります。

さて、ような両者のメリットのうち、どちらがこれからの時代に有利に働くのでしょうか。

比較してみると、結果は明らかです。

物が不足していた時代では、大量生産と安定供給できることが有利でした。

また、商品の完成度が全体的に低く不良品が多かったので、完成度が高く不具合が起きないということは大きなメリットでした。

でも、時代が変わり、現在のようにモノが過剰な時代に入ってくると、かつてのメリットには何の魅力もなくなってくるのです。

日本のどこにも物不足はありませんから、消費者は同じものを大量に供給されても喜びません。

それよりも、自分の要求を個別に満たしてくれる商品を望みます。

それに、今の消費者は、いくら完成度が高くてもこれといった特徴のないものよりは、一つの特徴を思い切り出したユニークで面白いものを喜びます。

また、充分に物のある時代では、同じようなものをいつまでも供給されると飽きてしまうため、安定という要素は魅力になりません。

それよりも、今の消費者は常に新しいものを欲しがっています。

つまり、どの場合でも、時代が「大きいことの有利」より「ひとり勝ち」の利点の方を志向しているのがわかってくるのです。

このように比較するとはっきりしてくるのは、「大きいことの有利」とは、物不足の時代の有利さだったということです。

これに対して「ひとり勝ち」のメリットは、モノ余りの時代の要件に対応できるものだと言えるのです。

「大きいことの有利」とは物不足の時代だからこそ通用した価値観だと考えると、時代がもの不足からものあまりへと転換してしまった今、この価値観もまた転換せざるを得ないのは当然なのではないでしょうか。

一人さんの言うように、どうやら時代は「ひとり勝ち」を求めていると考えた方が自然だと、私には思えるのです。

 

斉藤一人さんのお話を纏めました。

 

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