私の会社で同僚がミスをした時に、皆で批判してるんです、いったいどういう事ですか!!
そんな時のために、あらかじめ人間の脳の仕組みをを理解しておくと批判されたりした時でもある程度冷静に対処できるようになり、心に傷を負わずに済みます。
こんにちは、Greenです、バッシングに「快楽」を覚える人間の脳の仕組みを、徹底的に解剖しておられる、脳科学者・中野信子氏の『シャーデンフロイデ』を紹介します!!
他人を引きずり下ろしたときに生まれる快感
「他人の不幸で今日も飯がうまい」の略で「メシウマ」というネットスラングがあります。
成功者のちょっとした失敗をネット上で糾弾して喜びに浸る、この感情のことを、脳科学・心理学の世界では「シャーデンフロイデ」と呼ばれています。この単語はドイツ語で、Schadenfreudeと綴ります。Freudeは喜び、Schadenは損害、毒、という意味です。
これらは、ある種の週刊誌の売り上げを下支えする感情、といってもいいかもしれません。
「最近目立っているあの人」に対し、「あの点をこうすればいいのに」「どこがいいの」「上から目線で気に入らないんだよね」などという形で"検出"が行われ、「ちょっと痛い目に遭えばいいのに」「コメント欄で炎上させてやれ」「ツイッターで攻撃してやれ」「どうもへこんでいるらしい」「いい気味だ」というように、"排除"が実行されていきます。
いわゆるバッシングですが、この犠牲になった人の例はいくらでも挙げられるでしょう。
近年は橋下徹さんや堀江貴文さん、西野亮廣さんらが標的になることが多かったかもしれません。
実はこのバッシングにつながる一連の行動原理は「オキシトシン」という脳内物質と、深い関わりを持っています。
オキシトシンは、愛情ホルモン、幸せホルモンなどと俗に呼ばれて、基本的には人間に良い影響を与える物質と考えられています!!
オキシトシンは、1906年に、ヘンリー・デールという人が発見しました。ちょっと変わった名前ですが、その由来は「迅速な出産」という意味のギリシア語からきています。脳下垂体をすりつぶした汁が、陣痛を引き起こすことを発見したデールは、この汁の中に、出産を速める物質が含まれているに違いないと考えて、その名前をオキシトシンと名付けたのです。
オキシトシンは、出産や授乳に関わるホルモンではありますが、メスまたは女性の体内でだけ分泌されるわけではありません。オスまたは男性の脳内にもオキシトシンは存在し、神経伝達物質として、さまざまな働きをします。
たしかに、オキシトシンは、女性ホルモンであるエストロゲンによって増幅され、一般的に女性的なものとされる包容力であるとか、協調性、人と仲良くなることを好む傾向、養育者としての適性といった性質が、強く現れるようになります。
しかし、男性にもこうした性質を強く持つ人は増えてきています。そう感じる人はたくさんいるでしょう。何なら、こうした傾向を持つ男性を"オキシトシン男子"と名付けてもよいくらいかもしれません!!
戦う力や性欲、恋愛に対する強い情熱、そして稼ぐ力はそう高くはないけれど、人の話をよく聞き、なごやかで、やさしい。あまり他の女性に目移りすることもなく、貞操をまもる。一緒にいるとほのぼのとして、落ち着く。
オキシトシンの分泌量の多さは、肌のきめ、髪のツヤ、見た目のかわいらしさにも反映されます。むしろ、近年のトレンドとしては、こういう男性のほうが女性から人気があり、モテる、という現象が顕著になってきているのではないでしょうか。
シャーデンフロイデは「妬み」感情と不可分なもの
さて、それではなぜ「愛と絆のホルモン」「幸せホルモン」という好ましい俗称で呼ばれるこの脳内物質が、シャーデンフロイデなどといういやらしい、持っているだけで恥ずかしくなるような感情を、同時に強めてしまうのか !!
実は「人と人とのつながりを強めるのが、オキシトシンの本質的な働きである」と考えると説明がつくのです。
専門的な表現を使うと「愛着を形成する」という言い方をしますが、誰かとの間に情緒的な特別な絆ができるとき、脳ではオキシトシンがその回路を形作るのに一役買っています。
裏を返せば、人と人とのつながりが切れてしまいそうになると、オキシトシンが「私から離れないで」「私たちの共同体を壊さないで」「私たちの絆を断ち切ろうとすることは、許さない」という感情を促進させ、関係性が切れるのを阻止しようとするのです。
当然、男女の恋愛にも大きく影響します。友人や会社の仲間、地域共同体など、グループの関係も同様です。
シャーデンフロイデが、「妬み」感情と不可分であることを前提とすれば、オキシトシンは、「妬み」から「シャーデンフロイデ」に至る一連の感情の流れを強めてしまう物質であると考えることができるでしょう。
なぜ人間の長い歴史の中で、持っているだけで苦々しくなるようなこの「シャーデンフロイデ」という感情がなくならなかったのでしょうか。!!
盲腸にさえ、存在する意味があるということが近年、明らかになってきたといいます。まして脳は、人体の中で最も燃費の悪い臓器であり、そこまで余裕のある器官ではありません。不要な機能は、どんどん切り捨てられていきます。
生物種としてのヒトに仕組まれた特性
「シャーデンフロイデ」や「妬み」といったネガティブ感情は、一見ないほうが良いように思えても、何らかの重要な機能を担っているはずなのです。
「シャーデンフロイデ」や「妬み」は、個人の間でも生じますが、集団内で生起したときに、集団にとって都合の悪い個体を標的として「発見」し、「排除」するために使われます。
ヒトは、集団を構成することで生存確率を高め、生き延びてきた種であると考えられています。すると、最も生存確率を下げるネガティブ要因が、集団の崩壊になります。
集団というのは構成員が少しずつ犠牲を供出することによって成立しています。たとえば、時間、労力、金銭的な負担、心理的負荷などのリソースがそれにあたります。これらを集め運用して、そのメリットをみんなで享受するのが集団の構成要件です。
たとえば、そこに一人だけ、リソースを供出しない人が存在したと考えてください。供出しないにもかかわらず、メリットを享受している。
つまり、その人一人だけが得をしているという状態です。リソースを供出せずともメリットを受けられるなら自分たちも供出をやめようと他の構成員が考え始め、リソースを供出し続ける真面目な構成員の負担が大きくなります。すると、あっけなく集団は崩壊します。
このような事態を避けるため、リソースを供出しない一人を排除するか、その行動を改めさせる必要が生じます。これが社会的排除の原理です。
最近目立っているあの人、として人々の目に映るのは、既存の社会を壊そう、変えようとする人のことです。こうした人の台頭を許さないというのは、生物種としてのヒトに仕組まれた特性なのです!!
まとめ
考えてみれば、シャーデンフロイデも、妬みも、どちらもヒトに固有といっていい感情です。この感情を繙くことで、人間性、などといううさんくさい言葉にかき消されてしまわない、真の人間の本質が見えてくる、と私は考えています。
結論は、生物種としてのヒトに仕組まれた特性ですね!!
(出典:東洋経済ONLINE)
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