私、人見知りだと感じるんです!!
実は、自分を人見知りだと感じる方は意外と多く、決して特別なことではありません。
症状が軽く日常生活にも支障がなければ、そんなに気にする必要はないと思います。しかし、社会生活を送る上で、人見知りであることが不利になる場面も確かにあります。
こんにちは、Greenです、早速ですが、みなさんは自分のことを人見知りだと感じますか?
- 遠慮がちになってしまう
- 人間関係を避ける
- 対外的な仕事で不利になることがある
- 自分を理解してもらえない
というお悩みが多いようです。人見知りの方は、特に「初対面の人間関係」において、マイナスの印象を与えてしまうことを気にしています。症状が強くなると精神疾患を引き起こしてしまう可能性もあるため注意が必要です。以下人見知りについての研究をいくつか紹介させて頂きます。
人見知りはいつから始まる?
乳児が知らない人を見て怖がるのは人見知りの一種です。3歳すぎぐらいから、照れくさくはにかんだりするようになります。乳児期に見られる人見知りは、対人的な発達の中でごく普通に確認されますが、表出される時期に個人差があることが分かっています。また、人見知りを経験しない乳児もいることが分かっています。
研究では、乳幼児の人見知りと個体識別について調査を行っています、実験では、満10ヶ月の乳児43名を対象に、質問紙を用いて調査を行っています。
そして参加者を人見知りの強度により
- 人見知りが激しいグループ
- 人見知りが中程度のグループ
- 人見知りしないグループ
の3つ群に分けて調べました。以下の図は、それぞれのグループの人数とパーセンテージを表したものです。
このように、約80%が中程度~激しい人見知りを経験することがわかります。そして、約20%の乳児が人見知りを経験しません。特に見知らぬ人と触れ合う機会が多い乳幼児は、人見知りが表れない傾向にあるとされています。
そして、この研究では人見知りが表れる時期についても調査を行っています。人見知りの2つのグループでどの時期がもっとも確認されることが多いかを調べました。以下の図がその結果となります。
図を見ると、人見知りは早くて、5~6カ月頃から平均的には7~8か月で現れることが多いことがわかります。1歳になる前から知らない人を怖がるようになるのですね。大人になると、引っ込み思案、恥ずかしがり屋など、赤面症、など様々な表現があるように、人見知りは複雑化していきます。
2種類の人見知り
人見知りは心理学的にはシャイネスと呼びます。シャイネスの研究は古く、これまでその特徴や要因について研究がされてきました。この点、Buss(1984)はシャイネスを2つに分類しました。
恐怖シャイネス(fearful shyness)
恐怖シャイネスは人生早期からみられる。新しい場面や見知らぬ人との間に体験される不安反応です。幼少期の人見知りは恐怖シャイネスの一種と考えていいでしょう。
小さな子供がお母さんの後ろに隠れてしまう・・・こんな人見知りは恐怖シャイネスにあたります。以下の感覚が強い方は、恐怖心が強い人見知りであると言えます。
- 知らない人が怖い・・・
- 素性が分からない人は警戒する・・・
- 身体の大きい人が怖い・・・
恐怖シャイネスは比較的、原始的なシャイネスで幼児期に多くみられます。
自意識シャイネス(self-conscious shyness)
自意識シャイネスは人からどう見られているか?という意識が高まりやすい、フォーマルな場面や目立ってしまう状況で体験されます。つまり、人の視線が気になる場合は後者の自意識シャイネスに関連する不安ということになります。以下の感覚が強い方は、自意識型の人見知りにあてはまります。
- 飲み会でうまく話せない・・・
- 好きな人だと緊張する・・・
- 人前に立つ恥をかく気がする・・・
これは自意識シャイネスと言っていいでしょう。自意識シャイネスは、周りの目を気にする、10歳前後から大きくなり、30代後半からやや減退傾向にあると考えています。
S遺伝子・L遺伝子
人見知りの原因としては、緊張しやすい遺伝子であることが挙げられます。みなさんは以下のような経験をしたことがありませんか?
- 初対面の人と上手く話せない
- 大会の前にお腹が痛くなる
- 好きな人ほど緊張して話せない
このような誰しも感じたことがあるこの感覚は、一般的に緊張と呼ばれています。日本人は生まれつき緊張しやすいという研究があります。
私たちが感じる緊張にはS遺伝子とL遺伝子が関わっています。ヴェルツバーグ大学精神医学部のピーターレッツ博士(1996)は、「S遺伝子」が心身の安定に必要な「脳内伝達物質・セロトニン」の分泌に影響を及ぼしている事を発表しました。「L遺伝子」は対極にあり、緊張しない遺伝子という性質があるのです。
さらにS遺伝子とL遺伝子の割合で人間は
- SS型・・・緊張や不安になりやすい
- SL型・・・緊張や不安は中程度
- LL型・・・緊張や不安に強い
の3つに分けられます。SS型が最も人見知りになりやすいタイプであり、LL型の人たちは緊張や不安に強く、外向的な人が多いです。センら(2004)は、日本とアメリカの人たちのS遺伝子とL遺伝子の割合を調べました。
日本人とアメリカ人S遺伝子とL遺伝子の割合
日本はSS型とSL型に分類される人の割合が多く、その割合は世界でも最高水準に位置づけられることが、多くの研究や調査で示されています。人見知りは私たち日本人からすれば身近な気質なのですね。
人見知りの人は失敗過敏?心理的問題
大学生474名に対して、完璧主義と心理的な影響について調査を行いました。その結果、消極的完璧主義(正確には失敗過敏)のある方は
- 「集団にとけこめない」
- 「人間関係の当惑」
があることがわかりました。つまり、人見知りになりやすいということです。これに対して、積極的完璧主義(高目標設定)を持つ方は、これらの傾向はなく、特に顕著な差として「幸福感」が高いことがわかりました。
上記の図の数字は相関係数と呼ばれるものです。簡単に説明すると、AとBはどれぐらい関連しているかという数字で、心理学的には0.4~0.6の数値はある程度関連していると解釈していきます。人見知り傾向が強い方は「ミスをしてはいけない」「嫌われたくない」と考えるあまり、ますます人見知りを増幅されている可能性もあります。
人見知りでも親密な関係が築ける
人見知りだと「対人関係でいつも損をしてしまう…」と考える人が多いかもしれません。しかし人見知りには別の側面もあるようです。大学生を対象に行った、友人関係の親密さとシャイとの関連を調べた研究を見ていきましょう。
調査では、大学へ入学して8か月経過した新入生を対象に「大学へ入学してから最も仲良くなった人」を思い浮かべてもらい、その人との関係について回答してもらいました。その結果、シャイな女性はシャイでない人と同じくらい、友人と親密性を築くことができることが分かったのです。 この調査では「親密性」について、以下の3つの視点で分析を行っています。
関りの多さ
自分や相手からコミュニケーションをとる
相手からの親密性の推測
相手が自分のことを好意的に感じていると推測する
相手に対する親密性
自分が相手のことを好意的に感じている まずは女性のテスト結果を見ていきましょう。 女性の場合、シャイな人とシャイでない人とに親密性に差はないことが分かります。
つまり女性の場合、シャイな人もシャイでない人と同じくらいの割合で友人と親密な関係を築くことができると感じているのです。
一方、男性のテスト結果は以下の通りです。男性の場合、シャイな人とシャイでない人とに親密性で明確な差が出ていることが分かりますね。
この調査では「親密性テスト」と合わせて「シャイネステスト」も実施しました。そこで2つのテスト結果を詳しく分析してみたところ、特定の男性について次のことが分かりました。
男性は
「相手からの関わり」が多い場合でも、
「相手からの好意」は低いと推測をする。
つまり男性は、コミュニケーション機会が多い相手に対しても好かれていないと捉えてしまうことがあるのです。このような認知には「シャイのレベル」が関与していると考えられています。
この結果から、シャイで人見知りな男性は人間関係において相手との仲の良さを過小評価してしまうと推測できます。
このような男性の特性は、日本人の文化が影響しているのかもしれません。日本では昔から「謙虚」や「奥ゆかしさ」が重んじられ、自分を過大評価するより過小評価する方が、良い印象を持たれる側面もあります。人見知り傾向がある男性は、相手からの好意を小さく見積もって、謙遜してしまうのかもしれませんね。
人見知りな自分とうまく付き合う4つのコツ
具体的にどうすれば人見知りとうまく付き合うことができるのでしょうか?今回は以下の4つのやり方を提案させて頂きま。す
「事実集め」で考え方を修正
自意識過剰
「相手にどう思われているのか、気になって仕方がない」という人は、自意識過剰が原因で人見知りになってしまうタイプです。自分の容姿や話題の内容に対して、「変だと思われたくない」という気持ちが強すぎるのです。
「事実集め」で客観的になろう
自意識過剰が原因の人見知りを克服するには「事実集め」という方法が有効です。
完璧主義を前向きにほぐす
完璧を求めてしまう
完璧主義から引き起こされる人見知りです。完璧主義と人見知りは、一見全くタイプが違うように思われますが、実は意外と多いパターンでもあります。完璧主義の人は「絶対に失敗してはならない」という思考で頭が凝り固まっています。そのため、
- 失敗したくないから関わりたくない
- 相手に少しでも嫌なところがあると
関わりたくない
など、周囲とのコミュニケーションを避ける傾向にあります。
失敗してもOK!の姿勢で
完璧主義から人見知りになってしまう人は、自分にも相手にも完璧を求めるあまり、豊かな人間関係を築くことが難しくなっています。
小さな目標達成法
目標が高すぎる
目標が高いことは、ある意味では素晴らしいことです。しかし、高すぎる目標は実現が難しく、多くの失敗経験につながってしまいます。そうなると、なかなか自信を持てなくなり、「人間関係でも失敗するに違いない」という思い込みから、人見知りになってしまうのです。
自信につながる成功体験を!
克服するためには、小さな目標を立てて、成功体験を積み重ねることが大切です。
人見知りをあるがままに捉える
会話でミスが怖い人は注意
コミュニケーションでの不安が人見知りを高めていることが考えられます。特に初対面であれば誰でも、不安を感じてしまうでしょう。この時、無理に不安を抑えようとすると、ますます緊張が増大してしまいす。
不安をあるがままにする
他人への不安に対処するために、相手への緊張感や不安をあるがままに受け入れて「今すべきこと」に注意を向けるという理論です。
まとめ
人見知りになってしまう原因には「自意識過剰」「完璧を求めてしまう」「目標が高すぎる」「会話でミスを恐れる」の4つが大きく関わっていることがわかりました。次回以降は、人見知りを克服する具体的な方法について解説していきます。人見知りな自分とうまく付き合うことができれば
- 初対面でも楽しく過ごせる
- 第一印象が良くなる
- 少しの時間で仲良くなれる
など、メリットがいっぱいです!
いかがでしたでしょうか、「人見知りだから」と、せっかくのコミュニケーションのチャンスを避けていては、もったいないですよ。もっと人と関わることができたら、あなたの世界はきっと大きく広がります!!
(参考文献:Direct Communication)
皆様、いつもご精読ありがとう御座います。
お手数ですが、遠慮なさらずに押して欲しいんです。