押し出しとは、自分をより高く、かっこよく見せる方法
- 「布のバッグ」とと「ヴィトンのバッグ」どちらが成功者に見えるかな?
- バックを交換しただけで、実業家に見える!
- 人は「成功していて、かっこよくて、さらにいい人」に魅力を感じる
- 追伸 「ボロ着」から、「正装」に早変わり、信長の押し出しに道三は驚いた!
「布のバッグ」とと「ヴィトンのバッグ」どちらが成功者に見えるかな?
「みっちゃん。成功するのに、欠かせないのは『押し出し』だよ。
『押し出し』もやらないで、成功することなんて、できないんだ。
一生懸命やっていても、うまくいかないのは、押し出しが足りないってことなんだよ」
いきなりそう言われ、私はポカンと口を開けてしまった。
私が実業家としての道を歩み始めたころ、「納税額日本一の実業家」である斎藤一人さんに、成功の極意を教わり始めた時のことだった。
一人さんのレクチャーは、喫茶店でお茶を飲んでいる時やドライブしているときなどに突然始まることが多い。
その日も、喫茶店でアイスコーヒーを飲んでいたら、一人さんがいきなり話し始めた。
一人さんの言うことは、いつも突拍子がない。
親も教師も、いままで誰も教えてくれなかったようなことだ。
一人さんの口から出てくる、一言、一言が、私にとっても、とても新鮮で刺激的だった。
「『押し出し・・・・・・・?』 それって、何だろう?
相撲用語の一つなのかしら?
他の人を力で押しのけろっていう意味なのかな?」
私は頭の中で、いろいろ想像していると、一人さんが続けた。
「『押し出し』っていうのは、自分より高く、かっこよく見せる方法のことだよ。
自分をグンと押し上げて、自分より強い人に勝ちに行くこと。
実はね、これをしないで、成功することなんかできない。
今、成功している人は、『押し出し』の威力を知っていて、あの手、この手で、自分の『押し出し』をちゃんとしてきた人なんだよ」
例えばさ・・・・・・と、一人さんは私の持ってきたバッグを指差した。
それは私のお気に入りのパッチワークの布でできたバッグだった。
「そのバッグって、とっても可愛いし、女の子らしいよね。
でもね、みっちゃん。
みっちゃんが実業家として成功しようと思ったら、その布のバッグじゃ勝てないんだよね。
ちょっとこれを持ってごらん」
一人さんは自分のバッグを手に持たせた。
「トイレに行って、大きな鏡で全身を見てごらん。
布のバッグを持っているとみっちゃんと、ヴィトンのバッグを持ったみっちゃんと、どちらが成功しているように見えるかな?」
私は喫茶店のトイレにいって、二つのバッグをかわるがわる持って、鏡を見た。
ヴィトンのバッグを持った私は、なんだかグッと品が良くなって、、いかにも「成功している女性実業家」に見える。
元の布のバッグを持つと、やっぱりどう見ても「普通の女の子」
「実業家」という言葉より、お花やお料理でも習いに来た、家事手伝いの女の子に見える。
バッグひとつで、これほど人の印象って、違うものなのか?
私は、一人さんの言う『押し出し』の威力が、じわじわと心にしみてきた。
バックを交換しただけで、実業家に見える!
トイレから出て席に戻ると、ひとりさんがニコニコして「みっちゃん、どうだった?」と尋ねてきた。
「ひとりさん、私、びっくりしました!
ヴィトンのバッグを手に持っただけで、なんだか仕事をジャンジャンバリバリやっている実業家になった気がしますね。
バッグひとつで、これほど人の印象って、変わるんですね。
もう、すごいすごい大発見です」
私は興奮した面持ちで、早口にそうまくし立てた。
「そうかい、俺が伝えたかったことが、ちょっとわかったかな?」
ひとりさんはニコニコしながら、こんな話をしてくれた。
「人ってね、見ていないようで、相手のことをよく見ているんだよ。
例えばみっちゃんが、いつもの普段着で布のバッグを持って、仕事の打ち合わせに行くとするだろ?
そうすると、相手の人は、仕事の資料だけを見ているふりをして、実はみっちゃんの全身を見ているんだよ。
それで、『この人には、この程度のギャラを払えばいいかな?』とか考えてたりするもんなんだよ。
ところが、みっちゃんがヴィトンのバッグを持って、ローレックスの腕時計をして、キラキラする大きな指輪をつけて、打ち合わせに行ったとするよね。
すると、相手の人は何も言わないけど、バッグや腕時計や指輪をさりげなくちらっと見て、『この人は、売れっ子だ』とか、『仕事ですごく成功してるんだ!』とか、心の中で思っている。
それで、『何が何でも、この人は離しちゃダメだ! ギャランティーは予定していたよりも多く出してもいいから、この人にぜひ行ってもらおう!』とか思ったりするんだよ。
人の思いって、そんなものなの。
特に初対面の場合は、相手の持ち物をよく見てる。
正直言うと着ている服より、バックとか腕時計とか、アクセサリーをよく見てる。
だって、その人の中身って、目に見えないだろ?
中身を分かってもらうには、どうしても時間が必要なんだよ。
『人は、見た目が100パーセント』っていう法則がある。
まずは、見た目で判断されるんだ。
だから、『かっこつける』じゃなくて、『かっこぐらいつけなきゃだめ』。
見た目で、その人に対する扱いが大きく変わってくるんだよ」
「・・・・・・・」
一人さんの言うことはもっともだと思いながら、私は心の中で「えっ、そうかな?」と、ちょっと反抗した。
だって、バッグや腕時計で、人を判断されるなんて嫌だ。
やっぱり「中身」を見て欲しいし、「性格がいい」とか、「心が綺麗か」とか、そういうことで決めてほしい。
そして、そういう見方をしてくれる人と付き合いたい。
私が無言になっていると、ひとりさんには私の考えていることがお見通しだったようだ。
私の心を言い当てるように、こんな話をしてくれた。
人は「成功していて、かっこよくて、さらにいい人」に魅力を感じる
ひとりさんは話を続けた。
「みっちゃんは、バッグや腕時計で判断されるのは嫌だって、思っているだろう?
でもね、それが現実なんだよ。
人はもちろん、心が綺麗で性格の良い人と付き合いたいと思っている。
でも、『成功していて、かっこよくて、さらに良い人』と、『成功していないし、見た目も残念だけど・・・・・、でもいい人』だったら、正直言ってどちらが魅力的だろうか?
「成功していて、かっこよくて、さらにいい人」に決まってるよな。
実はね、『いい人』って、この世にいっぱいいるんだよ。
でも、残念ながら、『いい人』がみんな成功できているかと言うと、そうじゃない。
『いい人』だから、女にモテるかと言うと、残念ながら、そうとも言えないんだよね。
ひとりさんはちょっと私に微笑みかけると「話は少しそれるけどね・・・・・」と断って、こんな話を始めた。
「例えば、田舎に行くと『いい人』って、いっぱいいるんだよね。
田舎にいる青年は、親切で、優しい人が多いんだけど・・・・・・、実は深刻な嫁不足に悩んでいて、お嫁さんがなかなか来なくて、困っているよね。
あれってね、『押し出し』が足りないんだよ。
ちょっと極端な例だけど、暴走族っているよね。
暴走族の子って、髪を金色にしたり、背中に龍のついたジャンパーきたりして、自分を強そうに見せてるよね。
あれって、暴走族の『押し出し』なんだよ。
だから、暴走族のリーダークラスになると、みんな凄くモテるんだよ。
実は『押し出し』をして、強そうに見せている男の方が、圧倒的に女性からモテるんだよな」
「・・・・・・はい、なるほど、そうですね」
私は思わず地元で見た、ヤンキーのお兄さんたちを思い浮かべた。
そういえば、ものすごいリーゼントにして前髪を盛り上げたり、龍の入ったジャンパーを羽織っていたな。
そうか、あれって、ヤンキー兄さん達の『押し出し』だったんだね・・・・・・。
「それで、話は元に戻るけど、みっちゃんはすでに『いい人』という要素はたくさん持っている。
だとしたら、後は『すでに成功した人と同じように見せればいい』だけ。
要は『押し出し』さえしっかりやれば、あっという間に成功できちゃうんだよ」
「成功するにはね、実力がいるのは確かだけど、『押し出し』も絶対いるんだよ。
この二つが両方できた時に、成功って手に入るんだよ」
そうか、仕事だけおいくら勤勉に行っていたとしても、『押し出し』をしなければ、いつまでも成功はできないんだな・・・・・・。
私の心には、まだ聞き慣れない『押し出し』という言葉が、ぐるぐる回っていた。
追伸 「ボロ着」から、「正装」に早変わり、信長の押し出しに道三は驚いた!
食後のコーヒーを飲みながら、ひとりさんは続けた。
「斎藤道三ってね、『マムシの道三』って言われたくらい、侵略家なんだよ。
だから、最初は信長の国を自分のものにしてやろうと思って、信長に近づいて言ったんだよ。
信長って、面白い男で、足の膝が出そうな短い服を着て、腰の辺りに鉄砲の弾とかいくつもぶら下げたりして、へんてこりんな格好をしていたんだよね。
だからみんなが『信長って、頭がおかしいんだ』とか、『完全にイカれちゃってる』とか、陰で言ってたの。
道三は、その噂を聞いていたから、尾張の国は、信長の代になったらすぐ取れちゃうと思って、それを狙って娘を嫁に行ったんだよ。
ちなみに、当時の殿様同士って、実際にあったことがないんだよね。
でも、いざ娘を嫁にやるとなって、自分は舅になるんだから、一度ぐらいは信長と会っておこうと道三は思ったんだよね。
それで、道三と信長が初めて会うことになったの。
婿である信長が、尾張の国から、美濃国へといったわけ。
そのちょうど国境のところで、道三は信長に内緒で、こっそりボロ家みたいなところに隠れて、信長の様子を見ていたんだよ。
そしたら、なんと信長は、馬の背に後ろを向きにまたがって、ボサボサのポニーテールみたいな髪型して、おまけに手に柿持ってくいながら行ってきたんだよ。
道三は、その信長の姿を見て、『こいつは聞きしに勝る馬鹿だ・・・・・・』って思ったの。
当時の殿様同士が会う時って、烏帽子っていうのをつけて、正装して会うのが礼儀だったんだよ。
ところが道三は、信長がバカみたいな格好をしてきたんだから、自分も正装してもしょうがないと思って、普段のラフな格好で信長を迎えたんだよ。
そうしたら、なんと信長は、ものすごく豪華な鳥帽子をつけて、立派な正装に着替えて出てきたの。
その姿で、『織田かずのすけ信長です』って言って、ふかぶかと礼をしたんだよ。
しばらく沈黙していた後、なんと信長は『先ほどは国境まで、お迎えいただきまして、ありがとうございます』ってふかぶかと頭を下げたんだよ。
信長は、道三が国境でボロ家から覗いていたのを、ちゃんと知っていたんだよ。
その時、道三わかったんだよ。
『こいつ、馬鹿じゃなくて、とんでもない天才なんだ』って。
天才って、天才がわかるんだよ。
道三も天才だったから、信長の天才ぶりがわかったんだよ。
信長は、わざとバカみたいな格好をしてきて、いざ道三に会うとなったら、ものすごい豪華な正装に着替えて出てきた。
これって、すごい驚きがあるよね。
『いい驚き』なんだよ。
これで道三は、一発で信長のファンになっちゃったんだろう」
そう言うと、一人さんは美味しそうにコーヒーを飲み干した。
私は「すごい話ですね、ひとりさん」とため息まじりに言った。
やっぱり、信長ともなると、押し出しの作戦も画期的なんだ。
豪華な衣装を着て、堂々と道三の前に出てきた信長の様子を、私は頭の中にありありと思い描いていた。
「やっぱりね、最初から正式な格好をしてきて、正式な格好で出てきたんだったら、それって普通だよね。
驚きがない。
それを信長は狙ったんだよね。
そのぐらい天才的なことをサラッとできる信長はだから、戦でも佐渡天才的な作戦を考えてくるだろうって、道三は思ったんだよね。
それからは、道三は信長のことを『すごい男だ!』と認めていたから、信長が頼めば、兵隊でも何でも貸してくれたんだよ。
わかるかい、みっちゃん。
信長だって、押し出す時には、押し出したんだよ。
それも、本当にガキみたいな格好で来て、バカだって思わせといて、ビシッと正式な格好に着替えて出てくる。
そういうことがスカッとできること自体が、天才だよね」
「めちゃめちゃいい話ですね、ひとりさん」。
私は、一本の映画を見た後のように、いいえ、それ以上に深い感動に包まれていた。
一人さんの話がうまい。
まるで、戦国武将たちの息遣いが聞こえてくるように、臨場感たっぷりに話しをしてくれる。
だから、私のように歴史に疎い人間の、思わず惹き込まれてしまうのだ。
この信長と道三のエピソードを聞いて、「初対面で押し出すことは大事だ」という思いが、私の中でさらに深まった。
斉藤一人さんのお話を纏めました。
皆様、いつもご精読ありがとう御座います。
お世話になっております。
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