粋とは、人に気を遣わせず、いばらず、おごらないこと。
「愛」をもって事に当たる、究極のマナーです。
一人さんの「粋のマナーブック」は、見習いたいところがたくさん
「一人さんって、粋だよね」
一人さんを知っている人たちは口をそろえてそう言います。
私のイメージでは、粋とは、男性ならかっこいい、女性なら美しい振る舞いと考え方をする人のことです。
一人さんは、お昼の外食は11時台の早い時間か、13時以降にしか取りません。
「お昼の12時はサラリーマンの人の時間帯だろ?
私は時間に融通が利くから、お店にも他のお客さんにも邪魔にならない時間に行くよ」
と言うのです。
この間、13時半過ぎに1人さんとお蕎麦屋さんに入った時のことです。
意外にも、お店にはまだお客さんが結構いました。
「繁盛してますね」とお店の方に挨拶して、4人席に案内されました。
私たちがお蕎麦を食べていると、4人連れのスーツを着た男性が入ってきましたが、あいにく4人席が空いていません。
すると、お蕎麦を半分ぐらい食べ終えていた一人さんが、「ここ、空くよ。ちょっと待ってて」と手を上げて、パパッとおそばを書き込むと、さっと席を立ちました。
お店を出てから、「一人さん、粋ですねぇ」と私が言うと、「そうかい? 粋ってのはマナーだからなあ」とつぶやきました。
なるほど、「粋な人はマナーがいい」って考えると、普段からの行動の意味が、ものすごくしっくりきます。
一人さんは、気遣いの達人です。
それも、一切相手を疲れさせない、さりげなくて、爽やかな心遣いです。
一人さんは、銀座まるかんの人たちからも「一人さん」と呼ばれていて、ファンの方もたくさんいるすごい人です。
そして、私のお師匠さんです。
それなのに、私もサロンに顔を出してくれた時にお客様がいると、「いつも、りえ先生がお世話になっています」と、深々と頭を下げてくれるのです。
対象演劇の恋川純さんと私が取材の電話をしていて、ひとりさんに初めて通話を代わった時も、「いつも、りえ先生がお世話になっています」と言いながら、丁寧に頭を下げてくれました。
電話だから相手には見えないけれど、波動はちゃんと伝わります。
純さんは、とても恐縮していました。
車で工事現場を通る時も、必ず助手出席で交通誘導員にお辞儀をして「ありがとう」と言います。
パッと手をあげるだけだった私は、調子に乗っていたなと恥ずかしくなりました。
「みんな、この世を生きる仲間なんだよ。
仲間なんだから、お客さんの気持ちだけじゃなくて、店の人の気持ちもわかった方がいいじゃない?
難しくないの。
いろんなことを、どれだけ愛を持ってできるかってことだよ」
と笑うので、「どうして、そんなに自然にできるんですか?」と聞いたら、「私だって、お金儲け出した二十歳ぐらいの時はできなかったよ」と言います。
「店の人にチップをいっぱいあげてさ、いい席に通してもらったり、お店に顔が利いたりすることをが粋だと思ってたの。
今思うと、『粋がってた』だけだよね。
顔が赤くなるよ。
そういう思いをたくさんしてから、出されたものを黙って食べて『美味しかったよ』って帰るのがいいお客さんだって気づくんだよ。
まあ、わがまま言わないって覚えておけば十分じゃないのかな」
一人さんが、青春時代にそんな経験をしていたなんて、微笑ましく思えました。
「あとは、うちのお袋かな。
『学問するのも、偉くなるのも、誰かをバカにしたり、威張ったりするためじゃないんだよ。
人をバカにしたり、威張ったりするんなら、学問もなくて、偉くもない方がずっとマシなのよ』って言いながら育ててくれたのが大きいね。
人を馬鹿にして威張るのって、愛がなくて、ものすごく無粋なことだからさ」
少しも偉ぶらない一人さんは、そう話してくれました。
一人さんは、働き者のお母さんから、
「偉くなるなら、『偉くなるほど謙虚で丁寧でいる』という見本になりなさい。
わからない人に教えてあげるために物事を知りなさい」
と、小さい時から教えられてきたんですね。
素晴らしいなあと思います。
体重演劇の舞台を観に行く時には、「会場や講演会に無理して席を取ってもらうようならいっちゃだめだよ。
昔からのご贔屓さんの方を大事ににしてもらうんだよ」と言われました。
一人さんも、予約をお願いする時は、「一番後ろの席でいい」と言います。
純弥さんと純さんには、「一人さんほどの立場で、そんなことをおっしゃる方はまずいません」と驚かれましたが、一人さんって、そういう人なんです。
まだ、私が若かった時のことです。
「今日、自分が通された席が、神様が用意してくれた最高の席なんだよ」
と、一人さんが教えてくれたことがあります。
例えば、レストランで案内されたのが、柱の陰や、眺めのいい場所じゃなかったとしても、そこがその人にとってのとっておきの席なんだって言うんです。
あなたも、どこかお店に入って、席に案内されたら、そう思ってみてください。
きっと、見えてくるものが変わってきますよ。
一人さんの中には、社長だから、師匠だから、お客だから、年上だからといったこだわりがありません。
自分が先に帰る時は「立たないでいいよ、それじゃあ」と立ち去ります。
みんなで食事に行っても、お店の人に必ず「私は最後でいいから、みんなの分を先に作ってあげてね」と言うんです。
相手に気を遣わせるし、行きづらくなるからと、お店の人に身分も明かしません。
板前さんや配膳をしてくれる人たちにポチ袋を渡して、カウンターの中で洗い物をしている人にまで、「何か好きなもの、飲んでよ。なんて言ったって、ここには売るほどあるんだから」って声をかけるのです。
私も一人さんを見習って、タクシーに乗った時やホテルに宿泊する時など、いつでも渡せるように、ポチ袋にお金を入れて持ち歩いています。
「お釣りは結構です」だと、「お金は要りません」とお金をだ軽んじるのと同じになるので、「これでコーヒーでも飲んでください」と置いてきます。
さて、いくつか具体的な例を書きましたが、私は、「この通りにしてください。これが粋で、神様に可愛がられることですよ」と言いたいわけではありません。
一人さんや、私の話は、あくまで参考です。
やってみたいと思ってもらえたことがあったら、ぜひ真似してみてください。
「粋のマナーブック」は、それぞれの人が、「かっこいい、美しいと自分が思う基準」で作っていくものです。
あなたが無理をしないで、愛を持ってできると思う基準を、楽しみながら見つけて行ってくださいね。
粋とは、人に気を遣わせず、威張らず、おごらないこと。
「愛」をもって事に当たる、究極のマナーです。
斎藤一人さんの話を纏めました。
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