過去に、うんと、辛い目にあってたら、この先、幸せなことしか起きない。
なぜか、そうなの。
人生とは、そういうものなんだよ。
「この先は、幸せしかありえないよ」
母は紙とペンを持って店に下りてきて、一人さんに手渡しました。
一人さんは、さらさらと、紙に何かを書いて、
「裕子ちゃん、はい、これ。プレゼント」
渡された紙には、「芦川裕子の詩」と題した一編の詩。
うつむいていた私
何も言えなかった私
あなたに初めて会った時
輝く自分を見つけました
今、私は幸せに向かって
大きく翼を広げます
「こんな私でも、幸せになれますか?」
一人さんは優しく微笑んで、
「もちろん、この詩に出てくる『あなた』というのは、裕子ちゃんが生まれた時からずっと守ってくれている神様のことなんだよ」
そして、こう言いました。
「だけど、今は翼を休める時だよ。
周りは『もっと積極的になりなさい』とか言うけれど、そんなのは無視していいよ。
裕子ちゃんは、そのままでいいんだ」
私は一人さんに言いました。
「いじめられた時の光景が、今も、フラッシュバックのように浮かんできて苦しくなります。
いじめた子たちのこと、先生のこともずっと恨んでいます。
このままじゃあ、私、絶対に幸せになれないと思う」
すると、一人さんは、
「許さなくていいよ」
そして、次のように語りました。
いじめは、悪いことなんだ。
悪いことは、理由なく、いけない。
悪いことを正当化するために、「こういう事情だから人をいじめました」って、環境を持ち出しちゃダメなんだよ。
環境を持ち出すのは、自分が人を許そうと思った時だけだよ。
その時は、「こういう環境だから、しょうがないよ」と言って、いいんだよ。
だけど、第三者がいじめられている子に「いじめてる子にこういう事情があるから、我慢しなさい」というのは・・・・・・。
もし、私が学校の先生だったら、こうやって言うよ。
「親が離婚して、君も辛いと思うけど、人をいじめちゃダメだよ。
いじめたくなっても、こらえなさい」って。
保健室の先生は、いじめた生徒の気持ちになってあげてたんだろうね。
だけど、相手は悪いことをしているんだよ。
それを、いじめられてる子に「我慢しろ」と言うのは、ある意味、いじめだと私は思うよ。
事実、裕子ちゃんは、先生にそう言われて深く傷ついたんだよ。
今も苦しんでるぐらいの傷を負ったんだよね。
許せなくて当然だよ。
いいよ、いじめた子たちのことも、許さなくていい。
その代わり、うんと、幸せになろう。
なれるんですか?って、絶対になれる。
なぜかと言うと、過去に、うんと、辛い目にあってたら、この先、幸せなことしか起きない。
なぜか、そうなの。
人生とは、そういうものなんだよ。
「そのままで行って、そのままでも、私、幸せになれるんですか?」
一人さんは澄んだ目で私を見つめ、言いました。
「大丈夫だ。安心していなさい」
その日の夜。
自室で1日を振り返った私は、自分の過去を一人さんに話してしまったことをちょっぴり後悔しました。
話したことで、一人さんが私に対して変な気遣い、腫れ物に触るような接し方をされるのではないかと、心配になったからです。
けれど、そんな心配は無用でした。
「やぁ、裕子ちゃん」
一人さんは、その翌日も、またその翌日も、ずっと、いつもと同じ一人さん。
ただ、一つだけ前と違っていたのは、食事のバランスの取り方や健康法を教えてくれるようになったことでした。
私の健康状態に合わせて1つずつ。
「青汁やお酢は血をきれいにするから、健康にいいよ」
「肉や卵には脳に必要な栄養素が含まれているから、きちんと取るといいよ」
寒くなると、「体を冷やすと免疫力が下がるから、体は温かくしておくんだよ」
それから、太りがちな年末年始にダイエット法を教えてくれたり、春先には花粉症の対処法を教えてくれたり。
一人さんが1つずつ教えてくれたことを、私は1つずつ、実践していきました。
1つ実践するたびに、一人さんは嬉しそうな顔をして、
「やってくれたのかい、裕子ちゃん。
ありがとう、がんばってるね」
そう言ってくれました。
そうして体調は次第に良くなっていき、私は短大生になりました。
斎藤一人さんの話を纏めました。
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