こんなふうに、「なぜ習い事をするのか」が分かり、少しずつ川に手を入れていって、奥まで手を出せるようになった。
それを「堰(せき)を造る」というんです。
堰(せき)を造る
この世の中には、お金の流れる川がある。
それで、お金もうけには、一つの法則があるんです。
それを今から話しします。
例えば、自分が習い事の教室を始めるとする。
習字でも、ピアノでも何でもいいんです。
自分が習い事の教室をやる、と思ってください。
そうすると、この世の中には、いろんなお金の流れる川があって、その中で、世間の人が習い事に使うお金の流れる川があるんです。
世間の人が、英語を習ったり、習字を習ったり、いろんな習い事に使うお金というのが、何千億円かある。
その何千億円という膨大なお金が流れる川に、すこーし、自分の手を入れてみる。
お金を儲けたいからって、最初からいきなり川の流れを変えようとしちゃだめだよ。
そんなことをしたら、膨大なお金の川に飲まれて、大変なことになっちゃう。
最初は、習い事というお金の川に、ちょっと自分の手を入れてみるんです。
どういうことかというと、
「習い事って、なんだろう。 なぜ、人は習い事をするんだろう」
って考える。
そうすると、パッと頭に浮かぶのは「習い事って、暇つぶしだ」って。
まず、それが一つある、と。
そしたら、「どうせやるなら、楽しく暇が潰れたらいいよな。そのためにはどうしたらいいんだろう」って考え、楽しく暇つぶしができることをやる。
そしてまた、考える。
「なぜ、人は習い事をするんだろう」
そうすると、知識とか、自分の腕を向上させたい、というのもあるよね。
習字だったら、綺麗な字を書けるようになりたい。
ピアノだったら、好きな曲を弾いてみたいとこがあるんだけど。
「じゃあ、楽しく知識や腕が向上することをやろう」
それをやって、また考える。
「なぜ、人は習い事をするんだろう」
すると、習い事で身につけた知識や腕でもって、何か楽しいことがやりたいな、っていうのがある。
だから、自分が習字を教えてるんだとしたら、「誰かの誕生日とかに、白いマグカップに『おめでとう』って字を書いてプレゼントすると喜ばれて、自分も楽しくなりますよ」とか、知識や腕を利用した楽しみを教えてあげる。
こんなふうに、「なぜ習い事をするのか」が分かり、少しずつ川に手を入れて言って、奥まで手を出せるようになった。それを「堰(せき)を造る」というんです。
この「堰(せき)を造る」ということができた時、人が習い事に使う何千億もの膨大なるお金は、「もっと楽しくて、もっといい所」に流れていくんです。
要するに、そのお金は、「もっと楽しいこと、ないかな」って、常にもっと楽しい事を探していて、もっと楽しいことを望んでるんです。
だから、川の流れを変える、じゃなくて、「楽しい」という流れに沿って、ちょっと川に行っておいで、またもう少し手を入れ、またもう少し、ってやっていって、奥の方まで手を出して堰(せき)を作った時に、川の水が、サーっとっと自分の方に流れてくる。
今、話したことは、どんな仕事にも当てはまります。
例えば、居酒屋の場合だと、居酒屋らしい喧騒の中で一杯飲みたい、というのがある。
その「飲む」ということの中に、楽しく、交遊に使うお金、という流れがあるんです。
その流れに沿って、「人が飲みたいって、どうなんだろう」「楽しいって、どうなんだろう」
そういうふうに考えて、一個、一個、やって行くと、自分のところへ流れてくる川幅がどんどん、どんどん広がって、入るお金が増えてくる。
これをやらないで、「お金を儲けたいんです」って、それは無理なんです。
だから、習い事を仕事にする場合は習い事をしたい人の気持ち、飲み屋さんなら酒を飲みたい人の気持ちを、真剣に考えてあげること。
真剣に考えてあげて、行うことが、川の流れに新しい堰(せき)を作る。
仕事のコツって、本当に、それなんです。
ものの価値、本物の価値を見抜いてますか?
さっき、私が話した仕事がうまくいくコツ、それから、お金が儲かるコツ、どれも当たり前の話です。
この当たり前をやれば、仕事はうまくいき、儲かる。
そうならないのは、「仕事が難しいから」とかじゃない。
道理通りにやらないからなんです。
だから、道理通りにやってごらん。
居酒屋をやってるんだったら、「人はなぜ、酒を飲みに来るんだろう」って、分析するんです。
そしたら、やるべきことが見えてくる。
もちろん、分析する時は、よそのお店を見に行くといいんだよ。
そしたら、自分のやってることが、正しいかどうか、すぐわかるから。
もし、自分の店がうまくいってないなら、うまくいってる店と比べると、「こんなことやってたら、お客さん、うちのお店に来ないはずだわ」とか、「これじゃあ、売上、目標に行かないはずだわ」とか、やってることが間違いだ、ってことがわかる。
そしたら、それを改善すればいいだけのことなんです。
だから、だか、「なんだ、そんなの当たり前じゃないか」って思うかもわかんないけど、その当たり前というのは、すごい価値がある。
わかるかな?
この世に無駄なものってないの。
暇な店には暇な店を見る価値があり、繁盛店なら繁盛店を見る価値がある。
その価値観というのを知らないと、仕事というのは、なかなか、うまくいかないんです。
千葉県に、寺田本家という酒蔵があって、そこの蔵元の寺田さんと親しくお付き合いさせてもらってるんですけど。
寺田さんとこのお酒って、すごい人気で、出すお酒、出すお酒、すぐ売り切れになっちゃうんです。
最近の日本酒業界では珍しい、成功してる人なんです、寺田さんという方は。
その寺田さんとこの酒蔵へ全国から人が来る。
そうすると、寺田さん達は、酒蔵の中を見せてくれたり、いろんなことを教えてくれるんです。
それってね、すごいことなの。
成功している人が見せてくれるって、すごいんだよ。
そのすごさというものを認識してましたか?
繁盛してる蕎麦屋がある、私も蕎麦屋だとする。
そしたら、繁盛してる蕎麦屋へ行って、600円のもりそばを食べる。
600円払ったら、そこのそばの味が見える。
従業員の態度も見える。
そばつゆだって、接客の仕方だってなんだって、店が繁盛するものをお持ち帰りすることもできるんだよ、って。
そしたら、それって、600円じゃないんです。
それを真似したら、毎月、何百万円という売上になる。
繁盛してるお店は、経営コンサルタントも誰も教えてくれないようなものまで出して、見せてくれているんです。
それを、600円払っただけで帰ってくるんじゃ、ただのお客さん。
600円払って、「うまかった」「まずかった」だけじゃ、ただのお客の意見なんです。
商人はそうじゃない。
商人の見る目というのは、「こんなにすごいものを600円で出して、見せてくれる。これは、500万円の価値があるぞ」
それから、暇な店に行って、うまくもない蕎麦を食べたら、
「こんなことをしたら、店が暇になって、潰れちゃうよ、というのを見せてくれてる。
知らないままでいたら、自分も同じことをして、店を潰すとことだった。
ここは300万円の価値がある」
わかりますか?
「こんな、うまくもないそばで、やんなっちゃった」じゃないんです。
うまくもないそばを出したら暇になることが分かったら、そこの店は自分にとって300万円の価値がある。
あなた、それを見抜いてましたか?
本物の価値観というものを、持ってましたか?
今まで、本物の価値観というものを知らなかった人は、知らないから見抜けなかった。
だけど、今、あなたは、この話で本物の価値観を知ったんだよね。
よかったね、これからは、他所のお店で500円払ったんだとしたら、500円払っただけで返って来れなくなるよ。
そこの店から何百万円もの価値を得て、帰ってこれる。
だって、もう既に本物の価値がわかったんだから。
人は、「自分は宝に囲まれて生きてる」「神は自分にいろんな宝は与えてくれてるんだ」ってことを知った瞬間から、いろんな宝を手に入れるようになってる。
わかりますか?
流行ってる店には流行ってる店の価値があり、暇な店には暇な店の価値がある。
何のお店も、何百万もの価値があるものを出してくれてる。
それに気が付かなかったら、自分はその価値あるものを栄養と思わないよね。
だけど、「何百万の価値がある」と気付いたら、その時点で、そこの店から、価値あるものをもらってるんです。
だから、本当は、神は、誰にでも、いろんな宝を与えてくれているんです。
だけど、「いろんな宝を与えられている」と気づかなかったら、自分の周りにあるものは「取るに足らないものだ」って思っちゃう。
そういう人は、宝が見えない。
仕事でも、人生でも、そうなんです。
人は皆誰でも一生懸命生きている
人は、皆誰でも、一生懸命、生きてる。
一人さんはそう言います。
世の中には、いろんな人がいるんだけど、「人は、皆誰でも、一生懸命、生きてるんだよ」って。
わかりますか?
運動会のかけっこで、足の遅い子は最下位になるんだけど、「がんばってない」んじゃない。
がんばって、一生懸命走ってもペケなの。
パチンコばっかりやってる人、そういう人はパチンコ好きで生まれちゃってるんです。
歌が好きで生まれちゃってる人もいるの。
その人たちも、一生懸命、生きてる。
どんな人も、一生懸命、生きてる。
そうやって決めておくと、不思議と、どの人間も愛らしく見えてきます。
何も、私は「嫌なことをする奴がいても我慢しろ」とか、言ってるんじゃないよ。
「みんな、一生懸命なんだ」って自分の中で決めちゃうと、同じ人間でもちょっと違って見えてくるんだ、っていってるんです。
ちなみに、そうやって決めてる一人さんは、いっつも、幸せなんです。
「私、幸せじゃない」っていう人は、幸せのレベルが高いんです。
例えば、奥さんが一生懸命レンジでチンしたご飯を出してるところ、旦那が
「ちゃんと料理を作らないで怠けてる」って思った瞬間、バトルが始まる。
だから、自分の中の幸せのレベルをちょっと下げればいいんです。
「毎日、ご飯が食べられてありがたい」とかさ。
それから、私なんかよく「親がゴキブリじゃなかっただけで、ありがたい」って言うんです。
だって、もし、親がゴキブリだったら、自分もゴキブリだった。
今頃スリッパでたたかれるところだったんだよ。
親がゴキブリじゃなかっただけでも、ありがたいね。
それから、いろんな人を見て、「あの人はああいう性格だから、私、我慢できないのよ」とか、色々な人がいるんだけど。
自分がそういう正確に産まれなかっただけで、ありがたいの。
本当だよ。
もし、自分がそういう性格に生まれてきちゃってたら、自分はどうなってんだろうって、考えてみてごらん。
嫌でしょ。
そしたら、そうじゃなく生まれてこれたのって、ありがたいじゃん。
そうやって、小さいことに感謝してると、毎日幸せだよ。
それで、人って、感謝しようと思えば、いくらでも感謝できるんです。
人が心満たされないのは、「誰かが自分のために何かをしてくれたらいい」と思ってる。
ただ待ってたって、何も始まらないよ。
幸せって、待ってるものじゃないの。
幸せというのは、自分でなる、ものなんだよ。
追伸 努力で得られる小金、神が与える大金
「小金は努力で得られるけど、大金は神が与える」という言葉があります。
より多くの富を求めるのであれば、それに見合った考え方が必要になるのです。
では、一人さんはどんな考え方を持っているかと言うと、その代表的なものは「常に四方よし」になるように考えるのです。
この「四方良し」のもとになる考え方は、その昔、近江商人が商いをする上で理念にしていた「三方良し」の精神にあります。
近江商人たちは、自分たちの国の中だけで商売をするのではなく、広く他国へのでかけて、色々な国の特産物を行商していました。
そうすると、普通は他国のよそ者が来たとなかなか信用してもらえません。
そこで自然と身についたのが「売り手よし、買い手よし、世間よし」の「三方よし」の精神なのです。
つまり、売り手ばかりが得をするのではなく、買った人も得をする。
さらには商いをさせてもらっている地域の人達にも喜んでもらえることを考えたのです。
そして、一人さんはさらに一つプラスして「自分によくて、相手にも良くて、世間にも良くて、そのことで神様が〇をくれること」を常に考えて、その結果、累計納税額日本一の大金持ちになったのです。
新商品を開発する時なら「お客さんのためになって、それで世間も喜んでくれる商品で、自分の会社もしっかりと利益を出す」ことを考えます。
そして神様が〇をくれる商品だったら、絶対に失敗しません。
実際、商品開発は「千三つ」と言って、「千個考えて、その中から三つ売れる商品が出たらいい方」と言われている中で、一人さんが開発した商品は全て「ヒット」か「大ヒット」しかないのです。
この「四方よし」の考え方は商売だけではなく、人間関係や様々なトラブル解決にも役立ちます。
何か悩み事があったり、問題やトラブルが起こったら「まず自分によくて、相手にもよくて、世間にも良くて、神様にも〇をくれる答え」って何かなと考えるのです。
「自分だけ良ければ」も、「自分はいいから」も駄目です。
幸せや豊かさは、何かを分け合うことではありません。
考え方や見方を変えれば、いくらでも幸せや豊かさは見つかるのです。
斉藤一人さんのお話を纏めました。
皆様、いつもご精読ありがとう御座います。
お手数ですが、遠慮なさらずに押して欲しいんです。