「親の親の、そのまた親のずっと前から『良くない習慣』を繰り返してきてやめようとしない、それが『繰り返すタコ現象』なんですね」
「『繰り返すタコ現象』っていうのがあるんだよ」
だから、学校の先生達からは「やればできるのに、なぜ、やらないんだ!」とか言われていました。
私は心の中で、「うるさいなあ。やめてくれないかなあ」と思っていたんです。
そして、「あんな大人になんか、私は絶対ならない!」と決めていました。
なのに、私ったら、ついうっかり、やっちゃったんです。
私としては、みんなを励ますつもりで、「あなたも、がんばればできる」と言っていました。
でも、それを「重圧」と感じてしまう人もいるんですよね。
だから、人をよく見て、言葉を選ばないといけないんだって、学びました。
そのことを、ひとりさんに報告すると、
「『繰り返すタコ現象』って知ってる?」
と、ひとりさんに言われました。
「えっ、何ですか、それ」
その時、ひとりさんはこんな話をしてくれたんです。
「タコは一生涯のうちに、たった一度だけ繁殖を行う動物なんだって。
それも、人生最後の1代イベントらしいんだよね。
役目を果たしたオスは生涯を閉じるけど、メスは産卵して、卵が孵化するまで、飲まず食わずの状態で卵を守り続けるの。
そして、孵化した頃に、タコの母さんは死んじゃうの。
タコの子供はどうなるかと言うと、ボヤにしてもらったことをそのままやるの。
代が変わっても、同じことを延々と続けているんだよね」
「それが『繰り返すタコ現象』なの?」
「というよりね、これって人間のことなんだよ。
自分が子供の時に、やられて嫌だったことを、大人になったら、ついうっかり、自分の子供とかに言ったりするじゃない?
それを、人間はずっと、繰り返しているの」
「なるほど、「親の親の、そのまた親のずっと前から『良くない習慣』を繰り返してきてやめようとしない、それが『繰り返すタコ現象』なんですね」
ひとりさんは、頷くと、続けて言いました。
「ただ、人間がタコと違う点は、人間は意志と知恵を持っているの。
例えば、恵美子さんは、ついうっかりやっちゃったって気づいたでしょ?
気づいたら、もう成功なんだよね。
気づいたら、『もう、やらない』って思うじゃない?
『やらない』って思えば、そのことは今後、繰り返されることはなくなるんだよ」
「なるほど、だから、気づけば成功なんだ」
「その通り!」一人さんはニコッと笑うと、
「今のは意志の話だよね。
じゃあ、知恵とは何ですか、ということなんだけど」
私は聞き逃すまいと、やや前のめり気味の姿勢を取り、次の言葉を待ちました。
「知恵とは、例えば、与えられたものを使って、人の肩の荷をおろしてあげることだったりするんだよな。
恵美子さんの場合、出世して、今社長やっているじゃない?
出世をすると、人の肩の荷をおろしやすくなるんだよ。
どういうことですかというと、例えば、こういう質問が来たとする。
私は三日坊主で続かないんです。
どうしたら続けられますかっていう質問がね。
当人の話を聞くと、日記を書くのが続かないとか、パズルを買ったのに途中で飽きてやめちゃったとか、続ける必要のないことを続けられないって悩んでるの。
さらに話を聞くと、そういう人は過去に『続かないことで責められた』体験が、ずいぶん、あるんだよ。
心のどこかにその記憶が今も残っていて、それが心の重荷になっていることがあるんだけど、恵美子さんが、
『そんなの、私だって続いたことがないわよ。
でも、続かなくたって困ったことは一度もないもん、全然、大丈夫』
そう言ってあげると、相手の心の重荷が軽くなるんだよ。
ところが、昔のえみちゃんが『あら、あなた、そんなの気にすることないわよ』と言ったって」
「大丈夫なような気がしない」
「でしょ? 説得力が違うんだよ」
「そっか、出世は威張るためのものじゃない、人の肩の荷おろしてあげるもの」
「そういうこと。じゃあ、出世していない人は、お役目がないのかと言うと、そんなことはないよ。
与えられたものを使って、明るく楽しく幸せに生きること、その姿を周りの人に見せること。
それを昔の人は『徳積み』と言って、周りの人を助けることなんだよね。
そして、これこそが人を『知恵の動物』たらしめることなの」
あの時聞いた話は、何十年経った今も忘れずに覚えています。
「与えられたものを使って、明るく楽しく幸せに生きること、その姿を周りの人に見せること。
それが、周りの人を助けることなの」
一人さんのこの言葉は、私の人生のバックボーン(背骨)になっているのです。
斎藤一人さんの話を纏めました。
皆様、いつもご精読ありがとうございます。
お世話になっております。
Youtubeのチャンネル登録よろしくお願いします。
我が儘勝手で申し開きもございません。
上記の赤色のボタンを押してくださいね。
お手数ですが、遠慮なさらずに押して欲しいんです。