相手にはやれない理由があるんだと、人を思いやる気持ちが人を動かす
やらない人には、やれない理由があることを知ること
「やらない人はやらないよ」って、私はお弟子さん達に教えたことがあります。
この言葉は、人に対して冷たいとか、あったかいとか、そういう次元で言った言葉なのではありません。
いくら説教しようが、怒ったって、何をしたって、やらない人はやらないのです。
そして、やらないのには、それ相応の理由があるのです。
今の結果は、過去の考え方とか親の教育、前世から持ってきたもの、全てが兼ね備わって、そうなっています。
だから、やらない人を「ダメだ」と否定するよりも、「何か、やれない理由があるんだ」ということだけでもわかってあげた方が、相手が良くなる率は高いのです。
例えば、今世のことに関して言えば、日本という国は競争主義です。
小学校に入ると同時に、友達と競争させるんです。
友達と比べられちゃう。
競争相手になるのです。
学校に行けば試験の結果が発表されて、点数の差を見せられる。
社会に出ていったら今度は、収入の差が出てきます。
お金持ちか、そうでないかで、周囲の扱い方も変わってきます。
親は当然、子供に苦労をさせたくなくてお金持ちになってもらいたい、そのためにはまず、いい学校に行くために勉強させます。
親は当然、子供に苦労をさせたくなくてお金持ちになってもらいたい、そのためにはまず、いい学校に行くために勉強させます。
すると、子供は親の期待に応えようと、一生懸命勉強して、例えば、小学校で一番の成績を取り、いい中学校に入ったとします。
でも、その学校で一番になる人は一人しかいないのです。
一番になれなかった、元・成績優秀者の子供達は、全員、重荷を背負うんです。
「親の期待に応えられなかった」という重荷です。
それでもいい子は勉強を頑張って、良い高校に入ろうとします。
そして、その高校でもまた競争させられるんです。
さらにその次は、いい大学。
いい大学の次はいい会社へ、というふうに続いていくのです。
いい会社に入ったら入ったで、同業他社との競争だとか出席競争だとか、競争は終わらない。
そこでも、出世コースに乗れるのは、限られた人間です。
出世コースから外れると「自分はダメな人間だ」という重荷を背負ってしまう。
競争すること、それが自体が駄目なのではありません。
「出世コースから外れてしまった自分はダメな人間なんだ」という重荷を新たに背負わせてしまうような何かがあるのです。
それがいけないのであって、競争自体が悪ではないのです。
いずれにしても、なかなかやれない人は、ものすごい重荷を背負っている場合がほとんどです。
そういう人に、何か新しいことをさせようと思っても、うまくいきません。
それがどんなにいいことでも、古い何かを下さない限り、たった100グラムも余分に背負えないんです。
ですから、例えば「私は三日でやめちゃって、続かないのよ」っていう人は、そのことで責められたことが随分あるんだと思います。
要するに、競争社会においては「負け組の自分はダメな人間」という、昔から人をつぶしてきたマイナスの考え方が、今の今まで相も変わらず、ずっと受け継がれている。
このように、得体のしれない亡霊のような観念を根拠に自分にダメ出しをして、「親の期待に応えられなかった」と重荷を背負ってしまった人。
そういう人を救い出すために、私たちができることは何なのでしょうか。
私は思うのです。
指導者は「こうしなさい、ああしなさい」と指導する以前に、もっと大切なことがあるのではないか、と。
一人さんが人を嫌う波動を出さないもう一つの理由
この前、ある人に、こんな質問をされたんです。
「一人さんがすごいいいことを教えてくれるんだけれども、自分は長続きしないんです。
始めてからしばらく経つと、一回、二回、休んじゃって、その後、もうやらなくなっちゃうんですという人、2～3人と、立て続けに出会いました。
相談された時、一回、二回、休んだら、3回目からまたやればいいのになと思い、そう言いましたら相手に驚かれてしまい、自分は逆にびっくりしてしまいました。
一人さんだったら、このような相談が来た時、相手にどのようなことを言ってあげますか？」
この質問をしてきた人に、一人さんはこう言いました。
「普通なんだよ」って。
大体、長続きしないんだよ。それ、「ふつう」なんだよ、って。
私は、そういう人のことを「ダメな人」という呼び方をしたくないんです。
なぜかと言うと、この人を「ダメだ」と思った時に、私の心の中に「この人は駄目だ」という波動が生まれるから。
波動とは、何ですかって？
例えば、夫婦喧嘩の最中に人がやってきて、とっさに笑顔でその場を取り繕うとしても、嫌な雰囲気が残っていることが往々にしてありますね。
このように、人間から出た波動が、その場のムードを作り上げたりしています。
また、「この人は優しそうだな」と、あなたが相手に対して感じた時は、大概、相手は優しい性格をしています。
優しい性格の人は、「他人に優しいこと」を考えている。
だから、優しそうな雰囲気を醸し出す、つまり優しい波動を出しているのです。
厳しそうな雰囲気を醸し出している人は、普段から厳しいことを考えたり、そういうことを言ったりよくしているのです。
あなたの周りをよく見てみたら、きっとご納得いただけると思いますよ。
つまり、あなたが何を思っているか、どんな言葉を発するかによって、あなたから出てくる波動が違ってくるのです。
そして、波動は、電波と同じで、人の目には見えませんが、自分が出している波動と同じ現象、実際、引き寄せます。
ですから、「この人は駄目だという波動」を出すと、「あの人は駄目だ」「この人も駄目だ」って、ダメな人間ばかりの中に自分が生きるようになってくる、ダメな社会に生きてる形になっちゃうんです。
しかも、自分の心の中から「この人はダメだ」と言う、相手を否定する波動がいっぱい出てくると、信じられないだろうけど、愛とは反対の否定の波動は、体にもよくない毒なんですよ。
私の意見が正しいとか、正しくないとかの問題以前に、皆さん、ご自分の心の声をよく聞いてみてください。
「いくら言っても、あいつら、ダメなんだよ」
ですよね。不愉快ですよね。
だけど、自分は不愉快な思いをするのに、「こうした方がいいよ」と、あなたが助言してあげたその人はどうせやらないのです。
どうせやらない上に、あなたに「駄目だ」と思われているとすると、あなたのことも嫌いになる。
あなたもその人の事を嫌いになる。
そうやって否定の波動が二人とも出てきた時、お互い、毒を出し合うのです。
相手はいいことをやらない上に毒を出し、教えた自分も毒を発すると、世の中自体、よくなくなっちゃうんです。
そういう風なことを、一人さんは思ってる人なんです。
そして、私は自分から毒を出すのが嫌なんです。
なぜなら、自分が出した毒で、一番被害を被るのは自分だから。
自分の体が辛いんです。
だから、「それがふつうなんだよ」って。
「大体、聞いてもやらないもんだよ。だから気にすることないよ。また、いいこと、あったら教えるからな」って。
これが相手のためであり、自分のためなんです。
自分の毒で自分がやられないようにしないとね。
だから、「続かなくても大丈夫だよ、ふつうなんだから」って声をかけてあげる。
「何かやりだしたら、もう成功者なんだよ。
例えば、本を読まなかった人が一回でも本を読んだら、それは成功者なんだよ」って。
3日しか続かなかったら、「3日も続けば成功者だよ」って。
3日でやめちゃう人間がだめだ、というのは、相手に10日も、20日も続けることを期待している。
でも、一人さんはそんなことは頭にないの。
本来、素晴らしい存在であるあなたが、自分で自分のことを「だめだ」と思い込んでいる。
この心の地獄から、あなたに抜け出してもらいたい。
ただ、その一心なんです。
だけど、それが一番私の健康にいいんですよね。
自分の健康にいいことが、何故か相手にとってもいいことなんです。
できないことを「ふつうだ」と思って、
目の前の人を見ることが自分助けであり、人助け
斎藤一人さんの話を纏めました。
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