『そう簡単には行かないんだよ』
天から降ってきた『声』
晴れて一人さんの弟子となった私に、両親やみっちゃん先生は『一人さんの幸せの教え』を教えてくれました。
「顔にツヤを出すといいよ」
「華やかな色の服を着るといいよ」
「誰々さんに全ての良きことが雪崩のごとく起きますって、人の幸せを念ずるといいよ」とか。
「思ってなくてもいいから、ついてる、嬉しい・楽しい、感謝してます、幸せ、ありがとう、許します。
この天国言葉を口癖にすると、幸せなことが山のように起きるよ」
けれど、一人さんが私に言うことは決まって、
「裕子ちゃんは、そのままで、いいんだよ」
でも、一人さんには申し訳ないけれど、私は、そのままでいるのが、だんだん、嫌になってきました。
というのも、両親やみっちゃん先生たちが、楽しそうに一人さんの教えを実践していたからです。
それを見て、私は、
(そんなに楽しいのなら、自分も華やかな服装で顔をつやつやにしてみたいな)
そのままでいられなくて、つい、足を一歩前に出してしまいます。
すると、一人さんは、
「裕子ちゃん、輝いているね。素敵だよ」
そしたら、次は人の幸せを念じてみたい。
また、一歩前に足が出てしまいます。
そうすると、また、一人さんは、
「裕子ちゃん、最近、ますます福相になってきたよ」
その次は、天国言葉を言ってみたい、じゃあ、いおう!!
「この世に生まれて、ついてる!!」
「ご飯が食べられて、幸せ」
そんな日々を過ごすうち、短大生活は終わってしまい・・・・。
私は親のコネで採用してもらった会社で働くことになりました。
ただ、気心の知れない人が大勢いる職場で、うまく人と付き合っていけるかどうか。
怖がらずに、人と相対していけるかどうか。
自信がありません。
(もしかして、もしかするかも・・・・・・)
案の定、入社間もなく、私は人付き合いに疲れ、会社を辞めてしまいました。
やめた日の翌日、自室に1人こもり。
(なんで、こうなっちゃうんだろう。
変わりたい、人を怖がる自分を変えたいと思ったのに・・・・。
変われない自分が情けない。
もう、こんなの嫌っ、生まれ変わりたい)
否定的な考えの堂々巡り。
そして、夜のとばりは降りて行き・・・・・・。
「裕子、お父さんだ」「裕子ちゃん、起きてる」
ドアの向こう側から両親の声が聞こえてきました。
「・・・・・・」
「そのままでいいよ、裕子」「そうね、一人さんも、いつもそう言ってるし」
私はドア越しに言いました。
「ごめんなさい。ありがとう」
「ゆっくりおやすみ。裕子」
再びの静寂。
眠れない夜。
どこからか、寂しげな猫の鳴き声が聞こえてきて、窓を開けると猫の姿はなく。
見上げた空には、光り輝くうちたち。
「あぁ、きれい・・・・・・」
そう呟いた、その時、
「そう簡単には行かないんだよ」
一人さんの声が聞こえた、ような気がして、なぜか、気持ちが少し楽になってきました。
(そういえば、昔、一人さんが言ってたっけ。
自分の思い通りにならないことがあった時、必ず『そう簡単には行かない』を思い出す。
それで十分なんだって。
『そう簡単には行かない』、なんか効いてきたかも・・・・・・)
私はベッドに横たわり、深い眠りに落ちて行きました。
そして、翌日。
目覚めた私は自室を出て、リビングへ向かいました。
両親は既に仕事に出かけ、家の中はシーンと静まり返っています。
と、そこへ、
「リリリーン」
受話器を取ろうか、取るまいか、迷ってあげく、
「はい、芦川です」
「やぁ、裕子ちゃん」
一人さんからの電話でした。
「裕子ちゃん、今日、何か予定があるかな」
「いいえ、何も。会社を辞めたので暇してます」
私がそう言うと、一人さんは、
「実は私も暇してるんだよ。
これからドライブに行こうかなと思ってるんだけど、裕子ちゃん、どうする?」
「行きたい!! 連れてってください。すぐ支度しますから」
「いや、慌てなくていいよ。
別に行き先を決めているわけじゃないし。
用意ができたら、連絡ください。
迎えに行くから」
かくして、私は一人さんの車に乗り込み、ドライブへ出発しました。
斎藤一人さんの話を纏めました。
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