部下になめられるのは、優しすぎるからだ、
それって、本当ですか？
リーダーにふさわしい人間
「ひとりさん、自分を愛して他人を愛して、長所を見つけて褒めるのは、リーダーとしては、どうなんでしょう？
部下を引っ張っていくには、優しすぎるんじゃないでしょうか」
以前、ある女性の方から、このような質問をされたことがあります。
リーダーと言うと、部下を引っ張っていく、そんなイメージがあるのかもしれないけれど、この中には、いろんなリーダーがいるんです。
しっかり者で部下を指導するのが上手なリーダーもいれば、逆に自分が自由で部下に対しても自由にのびのびとさせるリーダーもいます。
あるいはまた、そそっかしいところがあったり、ツッコミどころが満載なんだけれど、なぜか部下に慕われてリーダーになった人もいます。
さらに言うと、私のお弟子さんの中には、優しくてスタッフにもお客さんにも愛されながら社長を何十年とやっている人がいるんです。
ということは、優しいからリーダーになれないわけではないんですよね。
私は、質問をくれた女性が、優しい性格が原因で何か困った問題が起きているのかどうか確かめたくて、彼女に「優しいことで、どんな不都合があるのかな」と、尋ねました。
すると、彼女は私にこう言ったんです。
「私はしっかり者ではないし、人を指導するのも苦手なんです。
優しくすることしかできなくて。
そのせいか、私、なめられちゃうんです」
私は、彼女にこう言いました。
「あなたは、優しいことはよくないことだと思っているようだけど、そんなことはないですよ。
最近の高校野球でも、駅伝でも、見ていると、部員に対して怒らず、優しい監督が引けるチームが優勝したり、ベスト8に入ったりしているじゃない？」
彼女は「はっ」とした顔をして、こう言いました。
「舐められるのは、優しいからではなく、他に原因があるんですね」
「あなたがそう思ったということは、それが、あなたにとっての答えだね」
私はそう言って、彼女にこんなアドバイスをしました。
「これからする話は、あくまでも参考意見だよ。
ひとりさんだったら、どうするかと言うとね、俺の場合は、まず、
何がいけなかったんだろう、『犯人探し』みたいなことは絶対にしないんだよ。
それよりね、優しい自分のままで、みんながついて行きたくなっちゃう、そういう組織を作ることを考えるんだよ」
「みんなを引っ張っていく」のに向いていなければ、「みんなと共に行く」リーダーになればいいんです
すでに知っている方も多いと思うのですが、ひとりさんという人はちょっと変わっているんです。
大概の人は、「リーダーにふさわしい人間になる」とか、「社長にふさわしい人間になる」という目標を掲げて、「ああ、自分にはこれが足りない、あれが足りない。
これができるようにならなきゃいけないし、あれもできなきゃいけない」と考えると思うのです。
実際、そのように考え、自分をリーダーにふさわしい人間に改良できた人は、うまく行きます。
ただね、人間って、いろんな人間がいるんですよ。
「リーダーにふさわしい人間」であるとか、何かの枠に、自分ははめ込もうとすると苦しくなってくる、そういう人がいます。
実を言うと、私が、まさにそういう人間なの。
私の場合は、例えば、同じことをずっとやり続けるのが苦手で、すぐ退屈してしまうんです。
1つのところでじっとしていることもできないんですよ。
だから、私は、自分の会社にすら、めったに行かないのね。
一般的に、社長は自分の会社の社長にデンと座っている、そういうものだと思われているからなのか、「社長は会社に行かないといけない」と思っているんでしょう。
一人さんはそうじゃないのです。
前提から変わっているのね。
まず前提が、自分は、滅多に自分の会社に行かない社長なんだ、と。
そんな自分が社長になって繁栄する会社を創るんだ、と。
そのために、今、自分ができることって何だろう。
ということを考えます。
先に紹介したように、「自分は優しくすることしかできないから、なめられるんです」と言っていた女性に、私が「優しい自分のままで、みんながついて行きたくなっちゃう、そういう組織を作ることを考えるんだよ」と言った───というのは、そういうわけなんです。
私に質問してくれた女性は、みんなを引っ張っていくタイプのリーダーと、優しくすることしかできない自分と見比べて、「みんなを引っ張るリーダーって、すごいな。私なんて」って、思っていたって言うのね。
でもね、「人を引っ張っていくのは、自分に向いていない」と思ったら、みんなを引っ張っていくリーダーになろうとしなくていいんです。
みんなと共に行くリーダーになればいい。
優しい気持ちが溢れてた指導をして、みんながついてくる。
そういう組織を作ればいい。
うまくいくんですよ。
斎藤一人さんの話を纏めました。
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