「気の迷い」スイッチが入ると、脳から特殊なホルモンが出るからなんです。
このホルモンが出ると、脳が一時的に錯乱してしまう。
一口で2度美味しい、人間関係の修行
「人間は、みんな、人間関係を修行するために、この世の中で生まれ出てきている」
そんなことを、私は考えています。
そして、この人間関係の修行の中で、最大の修行が結婚、というのが私の持論なんです。
なぜ、結婚は人間関係の最大の修行かと言うと、夫婦というものは、世界で一番相性の悪い者同士が好き合って、ひとつ屋根の下で生活をするからです。
こんなことを言うと、世界で一番相性が悪い者同士が結婚する理由がないとご指摘を受けるそうですが、そう思いたい方はそう思っていただいて結構です。
正しいとか、正しくないとかいう話ではなく、あくまでも私個人がそう思っているだけのことですから。
というわけで、話を続けます。
世界で一番相性が悪い者同士が出会った瞬間、カチッとスイッチが入ってしまうんです。
そのスイッチのことを、俗に「気の迷い」と言います。
すると、結婚してしまうんです。
どうしてそうなってしまうのか。
それは、「気の迷い」スイッチが入ると、脳から特殊なホルモンが出るからなんです。
このホルモンが出ると、脳が一時的に錯乱してしまう。
私はこのホルモンのことを、ヘナモンと呼んでいます。
このヘナモンというホルモンは、不思議なもので、相手が変な人であればあるほど、分泌量が増えるのです。
だから、周りの人が、
「あの人は変な人だ」
と忠告しているにも関わらず、結婚してしまったりします。
そして、神社の神主さんが新郎新婦お前にむにゃむにゃむにゃむにゃ言った後、大三々九度になるのですが、あの御神酒を飲み干した瞬間、法螺貝がなり、「いざ、出陣」となるわけです。
教会で結婚式を挙げた場合は、チャイムがゴング。
あのゴングが鳴ると同時に、無制限一本勝負が始まる。
どういうことかと言うと、結婚するとこのヘナモンが徐々に減りだすんです。
すると、目が覚めて、相性の悪い人間と一緒になってしまったことに気がつく。
どういうことかと言うと、大概、相手は自分が嫌がることをするんです。
ゴロゴロされることが嫌な人には、相手がゴロゴロする。
やきもちをやかれることが嫌な人には、やきもちをやく。
束縛されることが嫌な人には、束縛します。
でも、だからといって別れるわけにはいかないんです。
披露宴で大勢の人を前に、
「この人と幸せになります」
と、言ってしまっている。
それから、仲人が会社の上司だったりするから、簡単には別れられない。
誤解しないでくださいね、私は、結婚はしない方がいいと、言っているわけではありません。
結婚は、したほうがいいんです。
なぜかと言うと、結婚式をしている時が幸せで、別れた時は倍幸せ。
その上、夫婦でいる間に修行になるんですから。
何の修行かと言うと、人は人を変えられない、という人間関係の修行です。
そのことを学ぶために、相性の悪い人間同士が一緒に合宿生活するんです。
相手に期待しない、相手を変えない
この修行を乗り越えるには、まず、相手に絶対期待しないこと。
それから、相手を絶対変えようとしないこと。
この二つしかありません。
それはなぜかと言うと、人は他人に自分を変えられたくないんです。
変えられたくないから、互いに正当性を主張しあうんですけど、どっちが正しいか、じゃないんです。
育ってきた環境とか、生活様式がお互い違うだけなんです。
例えば、私の親は商売をやっていました。
商人は、お客さんに何か頼まれごとをされると、明るく「はい」と言わなくてはいけません。
すると、自分の子供にも、そういう教育をしてしまうんです。
例えば、親に、
「お水を持ってきて」
とか、何か頼まれごとをされた時は、お水を持っていけばいいのではないんです。
まず「はい」という返事があって、それから水を持っていく。
これをしなければ、愛のムチをもらうことになります。
私は、そういう家庭で育ってしまったから、返事をしないことは良くないことだと思う。
でも、商人ではない家で育っている人がいるんです。
そういう人は、返事をしなくても、親の言いつけを守りさえすれば、親から、
「ありがとう、いい子だね」
と言われるんです。
こういう人は、誰かに頼まれごとをした時に返事をしないことが悪いことだとは思うわけがありません。
だから、たとえ私が返事をしないことを注意しても、
「小言ばっかり言っている、うるさい人」
ということになる。
当然のことながら、
「うるさい人ね、小言を言わないで」
ということになります。
相手を変えようとしたら、自分に返ってきてしまうんです。
だから、相手を変えようとした方が負けです。
苦労することになります。
夫婦に限らず、全ての人間関係は、
「相手に期待しない。相手に変えようとしない」
の修行です。
自分が育ってきた場所では正しかったことでも、他の所ではそうではないことがあるんだから、互いが、
「自分が正しくて、相手が悪い」
と、言い合っていたら、キリがありません。
人間関係を良くしたいと思うならば、相手を変えるより、自分が変わる以外にすべがありません。
よく結婚式で、新郎新婦が、
「言いたいことは言い合える夫婦になりたい」
とか言いますが、あれはいけません。
夫婦でも、お互い、言いたいことを言い合ったら、壮絶なバトルに発展します。
夫婦でさえそうなのだから、お互いマナーというものを持って、相手の気持ちを思いやりながら話す、ということをやっていかなくてはいけません。
ちょっと気取って言えば、「ウィットのある言葉」というのでしょうか?
話す言葉が、明るくて、笑いがある。
どんな話でも、「笑い」は入れられるんです。
楽しく話して、楽しくいろんなことができればいいんです。
そうすれば、人間、お互い、ハッピーになれるんだから。
もちろん、人間は完璧じゃないですから、できないこともあるんです。
私もそうなんです。
例えば、私は親から、
「待ち合わせで絶対に遅れちゃいけないよ」
と言われてきましたから、人と待ち合わせをする時は、必ず10分前にその場所へ行くんです。
そして、相手を待つ。
ところが、私の知り合いの人で、30分ぐらい平気で遅れる人がいるんです
ヘタをすると1時間ぐらい遅れる時もあります。
ところが、その人のことをよく眺めてみると、別に、その人は信用を失ってるわけでもないし、仲間もたくさんいて、「いい人ね」とか言われてるんです。
10分前から待っていた自分は、一体、何なんだ? って、なるんですよ。
私は、その程度の人間だから、こういう修行が必要なんですね。
フグには毒がある
この世の中はふぐ料理みたいなものです。
ふぐはおいしい魚ですが、毒も持っています。
どういう意味かと言うと、人が何かをすれば、いいことと悪いことがセットで起こるものなんです。
わかりやすい例えを出すと、高学歴・高収入の素晴らしい男性だなと思って、付き合ってみたら、実はものすごいマザコンだったとか。
それから、美しい女性と知り合って、結婚したはいいものの、おしゃれにお金をかけすぎてしまうとか。
こんな風に、良い事と悪い事はセットなんですが、だからといって、私は良い事が起きた時にビクビクすることはありません。
躊躇も遠慮もなく、つかむんです。
なぜかと言うと、いいことだけつかもうと思っていたら、何もつかまらないから。
実際にお目にかかったことは一度もないのですが、チャンスの神様は前髪しか生えていないのだとか。
だから、そのチャンスの神様と出会った時は、その瞬間に、前髪をガッチリ掴まないといけません。
すれ違いざまに掴もうとしても、後頭部には髪が生えていませんから、逃げられてしまいます。
何より良い事と一緒に悪いことがくっついてきても、恐れる必要はないんです。
フグに毒があると言っても、その毒を避ければ、ただの美味しい魚です。
いいことはそのまま頂いて、悪いことだけを片付ければいいんです。
例えば、「まるかん」の名前が世間に知られるようになったとき、
「あの会社は宗教をやっている」
と言われたことがありました。
私は、
「宗教団体の最大のメリットは税金が免除されることなのに、どうして日本で一番税金を払う自分が宗教だと言われなくてはいけないんだ」
と、言いたくもなったのですが、その時私は、ファーストフードのM社を経営したF氏のことを思い出したんです。
M社は、昔、「野良猫の肉を使っている」と噂を立てられたことがありました。
野良猫を捕まえるために手間賃がかかることを考えたら、牛肉を使った方がはるかに安いんです。
にもかかわらず、世間の人は噂を信じてしまった。
そのことに対して、文句を言えたはずなのに、F氏はそうしませんでした。
子供達を集めてパーティーをやり、肉を貯蔵している冷蔵庫の中を見せて、その肉がどこから送られたものかを説明したんです。
そうしたら、噂はなくなりました。
そこで私は、このような見事なF氏の対応を見習って、「まるかん」は宗教団体ではないことを世間の人に表明したんです。
「ついてる神社」を作った時も、入り口に、
「お賽銭もいりませんが、ご利益もありません」
という張り紙をしたんです。
そうやってフグの毒だけを抜いていたら、「ついてる神社」にもたくさんの人が集まるようになった上に、平成15年分の納税額が全国1位になりました。
もし、あの時、私が、
「自分は何も悪いことはしていないのに、どうしてそんなことを言われなきゃいけないんだ」
と言っていたら、こうはならなかったかもしれません。
そんなことを言っていたら、腹が立つ。
それは、ものすごくエネルギーを消耗するんです。
しかも、エネルギーを消耗する割には、人から嫌われるだけで何の成果もない。
だから、悪いことが起こった時は、フグの毒をどれくらい上手に避けられるかのゲームなんだ、と思えばいいんです。
そうすれば、人生が豪華なふぐのフルコースになります。
斎藤一人さんの話を纏めました。
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