一人さんのお姉さんの少女時代の夢は「映画評論家になること」。
初めて映画館で観た映画が、オリヴィアハッセーの「ロミオとジュリエット」で、その美しさとストーリーの素晴らしさに惹き込まれました。
少女時代の夢
一人さんのお姉さんの少女時代の夢は「映画評論家になること」。
初めて映画館で観た映画が、オリヴィアハッセーの「ロミオとジュリエット」で、その美しさとストーリーの素晴らしさに惹き込まれました。
以来、お小遣いを貯めては、近所の映画館に通うのが私の密かな楽しみでした。
古本屋さんで、一冊の映画雑誌を買って、繰り返し、繰り返し眺めては、ハリウッド女優や俳優、映画のタイトルを、コツコツ暗記していました。
私が中学生ぐらいで、一人さんが5~6歳の時でしょうか?
当時、私があまりに映画に夢中だったので、弟には映画の楽しさを味わってほしいと、幼い一人さんを映画館に連れて行ったことがあります。
その頃の一人さんは、どこに連れて行っても、おとなしくお利口さんにしていたので、私は映画館にも連れて行きました。
映画館で大人に混ざって座っても、大きな声を出したり、モジモジ体を動かすこともなく、嬉しそうに映画に見入っている一人さん。
そんな一人さんの横顔を眺めながら、二人で映画を楽しむ時間は、幸せなひとときでした。
しかしある日、映画館に入ると、その時上映されていたのが、「化け猫」のホラー映画だったのです。
化け猫の首がいきなり飛んで、空中を回転し、牙を剥きながら、こちらに飛んでくる。
その恐ろしいことといったら!
その画面を見た一人さんは、目を開いて立ちすくみ、私の手を振り払って、映画館の外に走って行きました。
それ以来、私が一人さんに「ボクちゃん、映画行こうか?」と誘っても、「ボク、行かない・・・・・・」と断るように・・・・・・。
よっぽど、怖い思いをさせてしまったのだと思います。
当時のことを、一人さんが覚えているかどうか分かりませんが、5~6歳の男の子にはかなり衝撃的な体験だったのでしょう。
今、昔の映画をDVDで見ていると、幼い頃のひとりさんのびっくりした顔とともに、映画に夢中になっていた少女時代を思い出すのです。
望んでも、望んでも、平凡な幸せはこなかった
私の幼い頃からの夢は
「ささやかでもいい。 平凡な幸せが欲しい」
でした。
こう思うようになったのは、私の育った環境が、強く影響しているのかもしれません。
私は幼い頃から、商いで忙しい母に代わって、掃除、洗濯、炊事になどの家事、兄弟の世話や家業の手伝いに追われてきました。
どうしても、自分のことより、人のために時間を使うことが多かったのです。
ゆっくり習い事をしたり、おんな友達と連れだって買い物に行くような、娘らしい青春の思い出はほとんどありませんでした。
また、私の家に、住み込みで働いている、若い男性の従業員の人が多く暮らしていました。
私は年頃の娘になるにつれ、家の中がどうにも落ち着かず、自分の居場所がないように感じることもありました。
家の中をきれいに掃除して、テーブルの上に小さい花を飾り、大好きな絵をゆっくり描いたりする生活。
そんな「平凡な生活」に憧れ続けました。
ところが私の思いに反し、現実は、大変なことでトラブルが続き、苦労が絶えない生活でした。
私は20歳の時に夫と結婚しましたが、結婚してから、夫が病気やけがで26回も入院したのです。
また父や母の介護に追われ、父や母を看取ると、今度は夫が寝たきりになり、夫も私が介護するという「介護つくし」の生活になりました。
夫は4年前に亡くなりましたが、私は夫の介護をしているうちに足の股関節をひどく痛め、思うように歩けなくなってしまいました。
夫を亡くして一人になり、気力も体力もなくなった私の前に現れたのが、弟の一人さんです。
一人さんはよく
「姉さん、ドライブに行かないかい?」
「姉さん、旅行に行かないかい?」
と私を誘ってくれました。
最初、私は、一人さんの誘いにも、正直乗ることができませんでした。
「私は、歩けないから、いい」
そう言って断ろうとする私に、一人さんは
「姉さん、俺も、歩かないよ。
どこへ行くにも、車で行くんだから、大丈夫だよ」
そう言って、私の心をやんわりとほぐし、連れ出そうとするのです。
そしてある時、車の中で、
「姉さん、この先、どんなことをやってみたいのかい?」
と一人さんがたずねました。
「この先のことなんて、考えられない! 将来なんて無だよ!」
その時の一人さんの、がっかりしたような、悲しそうな顔・・・・・・。
弟を悲しませていることはわかっていたけれど、その時の私には、どうすることもできませんでした。
しかし、その時から、一人さんは姉である私に、「精神的に幸せになる方法」を、本格的に教え始めました。
今まで、精神的なことなど、勉強したことのない私にもわかるように、色々な例えを出して、あの手、この手で教え始めたのです。
姉である私を幸せにしようとは、誠心誠意、魂を込めて教えようとする一人さんの姿に、私も徐々に、心を動かし始めました。
両親のバランスをとって生きていく
一人さんから、「精神的に幸せになる方法」を教わるようになって、最初にショックを受けたことが二つあります。
「ああ、私が子供の頃から考えてきたことは、間違いだったんだ!」と、改めて気がついた瞬間です。
一つ目は、「ささやかでもいい。平凡な幸せが欲しい」は間違いだったということ。
小学生の時からずっと、「平凡な幸せ」を追い求めてきた私。
それにもかかわらず、その願いがずっと叶わなかったのは、一人さん曰く、
「もうこれ以上、何事も起きませんように・・・・・・」と、ビクビクしながら生きていたから。
そのビクビクした波動が、困ったことやトラブルを、何度も引き寄せていたのです。
「そうか、一人さんが言うように、波乱は、魂を向上させるために、神様がくれたプレゼントだったのね。
これからは、どんな波乱がきても、ありがたく受け取って、魂を向上させよう!」
私はそう気づいた時から、
「波乱万丈、大好きです!」
「波乱万丈、どんとこい!」
と自分自身に言葉をかけて、豊かな思いを放つよう、考えを改めました。
そして、もう一つ、頭をガーンと殴られたように、ショックを受けたことがあります。
それが「両親のバランスをとって生きていく」という一人さんの言葉です。
どういうことかというと、私はずっと、自分の両親のことを、こんなふうに思ってきました。
「なぜ、父は、遊んでばっかりいるんだろう」
「なぜ、母は、仕事ばっかりしているんだろう」
こんなに極端な両親はいない。
父が遊んでばかりいるせいで、母は仕事に走った。
母はずっと外出しているので、私たち子供の面倒を、ゆっくり見ている暇もなかった。
この父と母のせいで、私は兄弟は、苦労が絶えなかった・・・・・・。
ずっとそう思ってきたのです。
ところが、私のこの思いに対し、一人さんは、両親について、こんなふうに思っていたのです。
「うちの親父って、遊んでばかりいて、仕事してるの見たことないよな。
うちのお袋は仕事ばっかりして、遊んでるところなんか、見たことないよな。
親父の生き方がいけないとか、おふくろの行き方がいけないとか、そういうことじゃない んだよ。
親父は遊んでばかりいた。
おふくろは仕事してばかりいた。
俺には、その両方の血が混じっているんだよ。
例えば、鉄だけの建物だと、そのうち曲がっちゃうし、コンクリートだけの建物だと、そ のうち崩れちゃう。
でも、両方のいいところを生かした鉄筋コンクリートになると、そのビルが100年でも持 つんだよ。
だから俺は、遊び好きのオヤジと、仕事ばっかりしているおふくろを見ていて、自分の で、鉄筋コンクリートにすりゃいいんだと思って生きてきた。
姉さん、いいかい?
何かあったら、不幸の材料にしちゃいけないんだよ。
親父がこうだから、お袋がああだから・・・・・・って、悪いところばかりを見て、その ことで自分が不幸になっちゃいけないんだよ。
どう解釈しても構わないから、自分の得になる解釈をするんだよ。
「俺には、あの親父の嫌なところが流れてるんだ・・・・・・」
「俺には、あのおふくろの嫌なところが流れてるんだ・・・・・・」じゃないの。
「俺には、親父の遊び好きの血と、おふくろの仕事好きの血が流れているから、すごくバラ ンスが取れている!」
俺はずっとそう思って生きてきたんだよ。
だから俺は旅行にもどんどん行くんだよ。
仕事もじゃんじゃんするんだよ。
こうして、バランスをとって幸せになっちゃうと、親がありがたく見えるんだよ。
親が嫌いな人は、自分が不幸なんだよ。
親の問題じゃないんだよ。
なんでもいいから自分が幸せになっちゃうと、人間っていうのは、「生んでくれてありがたかった・・・・・・・」っていう気になっちゃうの。
だから親の嫌な思い出なんか忘れて、幸せになっちゃうよ」
「・・・・・・・」
一人さんは、今までずっと、両親の事をそう思って生きてきたんだ。
ああ、同じ環境で育っていながら、私とは、解釈の仕方が全然違う・・・・・・。
頭をブロックで殴られたようなショックでした。
しかし私も、この日を境に、「両親のバランスをとって生きていこう」と決めました。
遊びもどんどんするし、仕事もじゃんじゃんする。
そう思って毎日を過ごすと、なんだか生き生きしてくるのです。
そして両親にも「ああ、生んでもらって、ありがたいな」という感謝の気持ちが生まれてきたのです。
一人さんに教えてもらった「両親のバランスをとって生きていく」
このことを知ったおかげで、60年以上も思ってきた両親への気持ちが、プラスに変わった瞬間でした。
斉藤一人さんのお話を纏めました。
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