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斉藤一人さん サクラ効果

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「うちのタコは柔らかいからさ。

入れ歯でも大丈夫なんだから。

騙されたと思って、食べてってよ」

 

 


リピーター


4年生の冬休み、2年目になったライトバンの露天商は、ちょっと生意気になりました。

もちろん、荷物は父に運んでもらいましたが、後は一人でやろうと思ったのです。

商品は同じだし、サンプルもお釣りもバッチリです。

「これなら、もう俺がいなくても大丈夫だな」

駐車場に一人さんが来てくれた頃には、大方の準備が済んでいました。


「今年もやるの?」

早速声をかけてくれる人がいました。

「やるよ」

「じゃあ、3皿取っておいて。

後で、来るから」


去年も買ってくれたお客様が、また来てくれたのです。

「かんちゃん、いいぞ」

一人さんがニコニコ顔で言ってくれるので、私の小鼻は満開です。

「同じお客様にまた買ってもらえるなんて、すごいじゃないか。

かんちゃんの商品を気に入ってくれたってことだからな。

無理矢理売りつけたって、気に入らなかったら、お客様は二度と買ってくれないよ。

でも、気に入ってくれたら何度でも買ってくれる。

それも喜んで買ってくれるんだぞ。

かんちゃんだって、喜んでもらえたら嬉しいだろ。

な、すごいぜ、かんちゃん」

いわゆるリピーターさんを、私は確保したわけです。

その大切さを痛感しますが、その時の私は実のところ、お客様に喜んでもらうよりひとりさんに褒められた事の方が嬉しかったのです。

「あとは自分でやれるよな」

そう言うと、一人さんはどこかへ行ってしまいました。


上手にやりすぎたのかな


一人さんに褒められ、私は勇気凛々です。

少し頭を使うことも覚えました。

もらってきたポスターの裏に「安い!」だの「柔らかい!」だの、キャッチコピーを書いてライトバンに貼ったりしました。

それだけでライトバンの周りは急に賑やかになり、去年よりずっとお店らしくなりました。

もっと上に貼ったほうが、向こうから来る人にも良く見えるかもしれない。

今にして思えば、人の「動線」を考えてみたりもしました。


2年目だし、ポスターも貼ったし、この年はもっと売れるはずでした。

袋詰めも、お釣りもテキパキとやってのけます。

ところが、去年より断然上手にやっているはずなんですが、お客様の数は去年より少ないような気がしました。

流れが途切れがちなのです。

リピーターさんはいてくれましたが、その人が帰ると、お店の前には誰もいなくなってしまいます。

「いらっしゃい」とか「安いよ!」とか、ちょっとは声を上げてみました。

でも、お客様がたまってくれないと呼び込みの声が盛り上がらず、つい黙ってしまいます。

店の周りが静かになると人の流れはますます遠巻きになるという、悪循環を始めたようでした。

「もう誰も来てくれないんじゃないか」

子供心に、強烈な不安に襲われたのを覚えています。

あわや涙がちょちょぎれそうになった時、

「どうした?」

目の前に、一人さんが立っていました。

ほっとして、嬉しくて、私は息せき切って訴えました。

「お客様が、来なくなっちゃったんだ」

今年は上手にやったのに、お客様が来てくれないんだと言うと、一人さんは、こういったのです。

「上手にやりすぎたのかな」

なんで、上手にやるのがいけないんだろう。

「かんちゃんさ、去年は初めてだからモタモタしてたろ。

何やるにも時間がかかった。

でも、思い出してごらんよ。

おかげでライトバンの前には、いつもお客様が溜まってたじゃないか。

今年はかんちゃん、サクサク行って、お客様を早くさばき過ぎちゃったんじゃないかな。

イカ買おうかタコ買おうか、ゆっくり考えたいのに他に誰もいないんじゃ、いづらくなる人だっているんだよ。

お客様は溜めなきゃダメだよ。

冷やかしの客様だって大歓迎さ。

いてくれたら賑やかになるからね。

お客様を呼ぶにはお客様が一番だって、去年言ったろ。

早くやればいいってもんじゃないんだよ」

商品は手早く包む、お釣りはさっさと渡す、テキパキやるのが良いことだと思い込んでいた私には「早ければいいってもんじゃない」という発想はありませんでした。


サクラ

 

最初からやり直しです。

また、チョロチョロと行きつけのお店に出かけて行っては、おばちゃん達に頼んでサクラに来てもらいました。
今度は慎重です。

「えーっと、500円のお預かりだから・・・・・・」

わざとお釣りに手間取って見せたり、お客様を引き止めることに必死でした。

僕は子供だから、という同情フェロモンが全身から発散されていたことでしょう。

確かに、ぐずぐずしながら横目で見ていると、お客様は減らないのです。

じゃあ、私も買おうかしらと吟味を始める人もいれば、ゆっくり味見をしている人もいます。

他にお客さんがいるというのは、別のお客様に安心感を与える効果があるようでした。

一人さんの言う通りでした。

早ければ、上手であれば、いいってもんじゃありませんでした。


いつまでも、サクラのおばちゃんに頼るわけにはいきません。

少し度胸がついてくると、私の通りすがりのお年寄りに、サクラになってもらうようになりました。

「うちのタコは柔らかいからさ。

入れ歯でも大丈夫なんだから。

騙されたと思って、食べてってよ」

「騙されたと思って」とは、一体、どこで覚えたんだか。

おばあちゃんには時間がたっぷりあるようで、食べてみてくれるどころか、何もそこまでと思うくらい1時間も2時間も、平気でたむろしてくれます。

その点、おじいちゃんというのは、味見をしてくれますが、概ねシャイで、宣伝マンとしてはイマイチのような気がします。

サクラさんは、やはり女性に限ります。

第一、声が大きい。

「ちょっと、あんた、私は入れ歯だけどさ、このタコは食べられるんだよ。

柔らかいんだよ。食べてみなよ」
大きな声で、誰に話すともなくしゃべり続けてくれます。

元気なサクラさんが逆の流れを取り戻してくれると、面白いように売れ始めます。

ゾクゾクする瞬間でした。


小学生の露天商

 

ペースがつかめてくると、一人ではこなしきれなくなっていきました。

「お前、暇なんだから手伝え」と弟を引き込み、「1日700円出すから」と保育園時代の同級生を雇い、小学6年生の時にはすでに3人の従業員を使っていました。

その頃には、一人さんの姿を駐車場で見ることもなくなっていました。


4年間で儲けたお金は、小学生にとっては大金です。

でも、一銭も使いませんでした。

一人さんに教えてもらい、お客様とやり取りする楽しさを知り、お客様が喜んでくれて、私も嬉しくて、とにかく面白かったのです。

そうやって稼いだお金を使ってしまったら、四年間の最高に面白かった思い出が消えてなくなりそうな気がしました。

結局、この時稼いだお金には手をつけずじまいでした。

バブル期の利子がついて、今では結構な金額になっています。


八歳の私に、一人さんはなぜあんなに細々と、商売のイロハを教えてくれたんでしょうか。

後で、ふと疑問に思ったことがあります。

「それで、元は取れるのかい」

そう投げかけた以上、責任を感じたのでしょうか。

両親と一人さんは知り合いでしたから、私を子供のように心配してくれたということもあるでしょう。

でも、一人さんは、もっと大きなことを考えていたようでした。

長く付き合ううちに、こんな話を聞くようになったのです。

「日本には、商売をやろうという若者が少なすぎるよ」
一人さんは、嘆いていました。

「アメリカじゃ、子供の頃からビジネスマンになりたい、会社を経営したいという子も多いそうだけど、日本でそんな話、聞いたことがないんだよ。

それは、ひとえに日本の経営者の怠慢だと俺は思うね。

商売は大変さ。

だから面白いんだぞって事を、子供たちにちゃんと教えてこなかったからだよ。

これは大問題だよ。

しっかりした商人が育たないと、お金はみんな海外に流れてしまうんだからな」

普段は穏やかな一人さんが、この話になると真顔で熱くなります。

そんな大きな考えで私に教えてくれていたのだとしたら、私は、とんだ期待はずれでした。

少なくとも、かなりの遠回りをしたことになります。

一人さんが教えてくれた初めての商いは、本当に楽しかった。

物を売ったり買ったりすることは、お客様と楽しく遊ぶようなものでした。

商売は面白い、と本気で思いました。

もし、ここで私が「僕は将来、商人になるんだ!」と宣言し、突き進んでいたら、私は「天才少年商人現る!」ともてはやされていたかもしれません。

でも、将来の具体的なイメージと商売の楽しさが、私の中ではアメリカの少年少女のように結びついていませんでした。

とりあえず、周囲が薦めるので、良い学校に行こう。

初めての商いの後、私はごく普通の考え方をする小学6年生に戻っていました。

しかし、普通が人間を幸せにしてくれるとは限りません。

この後の6年間、私は完全にドロップアウトしてしまうのです。

 

 

斉藤一人さんのお話を纏めました。

 

皆様、いつもご精読ありがとう御座います。

 

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