「魚雷が来たら船首を向ける」それだけです
沈まない軍艦の話
斎藤一人さんの講演会を聞かれる人は、多分、「一人さんのように、自分の会社や店も儲かるようにしたいと考えていらっしゃる」でしょう。
でも、
「斉藤さんがあれだけ儲かっているなら、自分の店も斉藤さんのやり方をそのまま真似すればいいじゃないか」
と考えると、間違えてしまうことになります。
一人さんは常日頃から、
「そうじゃない」
と言っており、その理由となるのが、
「経営にはコツがない」
この言葉なのです。
このことを説明するのに、一人さんのよく使う例えが、軍艦の話です。
軍艦が海を進んでいて、そこへ魚雷が来たとします。
こちらから魚雷がきたのなら、軍艦は船首を魚雷の来る方向へ向けます。
そうすれば、船の横腹を見せているよりも、魚雷に当たる確率が減るからです。
それで、また別の方向から魚雷が来たら、今度は船首をそちらに向ける。
また別の魚雷が来たら、今度はそちらという具合に、軍艦は魚雷が来るたびに、船首の向きを変えて、戦争するわけです。
これと同じように、会社や店を経営していれば、あちらこちらから魚雷がくるようなもので、頻繁に状況が変わるわけです。
その度に、船首を違う方向へ向ける、つまりは、その状況に合わせて対応するわけです。
この事にコツなどは考えられません。
もしコツのようなものがあるとすれば、それは、魚雷の方を向くということだけです。
つまり、経営の実際では、その場その場の状況に合わせて、臨機応変に対処するしかないということなのです。
もし、特定のコツなどというものに拘ってしまったら、寧ろ魚雷にあたって沈んでしまうことになるからです。
でも、経営の実際を知っている経営学者・評論家などが言っていることならば、そのまま自分の店でも使えるのではないか、という気がするかもしれません。
そのような経営書がブームになることがありますが、一人さんは、
「経営コンサルタントよりも、俺の方が商売はうまくいっているんだから、聞く必要はないよね」
と言います。
この種の経営者には、いわば経営のコツのようなものが書いてあるわけですが、やはり期待しない方がいいのかもしれません。
経営書や経済などには、他の人が実践してみてうまくいったことをコツとして載せているわけです。
でも、本や雑誌になった時点で、それらのコツは読んだ人たちにとって周知のこととなるわけです。
そうなれば、そのコツはもう古くなり、すぐに使えなくなることが多いようです。
結局のところ、というのは臨機応変にやるしかないということです。
だから、一人さんはこんな風に言います。
「経営にはコツがないというのを、早く知ることがコツだ」
経営にはコツがありません。
それよりも、もっと大きな人生全体の流れを知る方が良いようです。
そして、その流れに合わせて生きる、つきを呼べるような人間になる方が大切だということなのでしょう。
一人さんが、正論ではなく、もっと精神的なことを伝えようとするのは、そうした理由からなのです。
秘書なし・車なし────商売にとって無駄なことは一切しない!
「商人頭になれ」───。
この言葉の意味を端的に言ってしまうならば、儲からないことをするのは、商人として失格だということです。
実にシンプルなことですが、案外、これをきちんとできている商人は少ないのではないでしょうか。
この商人として当たり前のことを徹底するためには、商人としてのプロ意識が必要となるのです。
そのプロ意識を、斎藤一人さん独特の言葉で表現したのが、この言葉なのです。
一人さんは、私にこういったことがあります。
「商人頭と客頭というのがある。
商人頭になっていないから、商人をやっているやつがみんな客にされているんだ」
この「商人頭」は、一人さん独自の言葉なのですが、これが何を意味しているのかを理解すれば、斎藤一人流のプロ意識とはどんなものかがわかります。
「商人頭」とは、商売に不必要なものをギリギリまで削り落とす、その心構えを意味しています。
一人さんの場合、この「商人頭」が徹底的に貫かれています。
このことは、銀座まるかんの本社事務所を見ればよく分かります。
ここには商売にとって無駄なものは一切ありません。
長者番付の1位になるような社長の事務所といえば、巨大な本社ビルを想像するかもしれませんが、実際は、10坪家15坪ほどしかない小さな平屋建ての商店です。
内装も全くシンプルで、商売に必要なものだけが用意されています。
しかも、お弟子さん達の販売店は別会社ですから、1人さんの経営している会社については、実質的にに事務所はそこだけです。
もちろん、秘書もいなければ車もない。
携帯電話を持っていない。
小さな事務所には、いつも3、4人しかいなくて、普段は社長本人も会社にいません。
このように、一人さんの会社では、商売にとって無駄なことは一切しないという哲学が、極限まで徹底されています。
このため、生産性が普通の企業とは桁違いに高いのです。
この本社の姿こそが、「商人頭」の真髄なのだと思います。
ただし、決して誤解していけないのは、これはいわゆるケチとは違うということです。
なぜなら、出費に対してこうした厳しい態度をとるのは、あくまで商売に関する場合だけだからです。
一人さんは、よくこう言います。
「蕎麦屋さんへ行ってカツ丼の上を食べたって、そんなのは全然いいんだ。
けれども、商売に関する頭の使い方というのは、これとは別なんだよ」
また一人さんには、私の商人としての芸を認めてくれて、1万円のチップをくれるようなきっぷの良さもあります。
つまり、日常生活でどうお金を使おうとそれは構わないが、商売では厳しく無駄な出費を省かなければならないということです。
私もプロの商人の端くれとして、いつもこのような「商人頭」でいたいものだと思っています。
商人はお金を入れるものであって、出すものじゃない!
安売りに付けられるのは「客頭」です。
しっかりとした「商人頭」を保持していないと、商人をしているつもりが、いつのまにかお客さんにされてしまうことがあります。
そのために、無駄なものを買わされて、なお悪いことには、その事に気づきさえしない人も珍しくないようです。
そのような人は、頭の中身が商人ではなく、お客さんになってしまっているので、自分が無駄な出費をしているという自覚さえなくなっているわけです。
このような状態が、「商人頭」の対極にある「客頭」です。
一人さんは、
「商人はお金を入れるものであって、出すものじゃない。
これを徹底しないと頭になってしまう。そうなっている奴が大勢いる」
とよく言います。
一人さんがよく使う具体例をもとに、このことを考えてみます。
例えば、店を始めるとします。
そうなれば、内装屋さんが来て、
「この内装はもうちょっと派手にしたほうがいい」とか、
「床はもっと綺麗な素材を使った方がいい」
といった具合に、色々な提案をすることでしょう。
プロの商人ならばここで、それが本当に必要なことかどうか、よく考えるところです。
確かに商売にとってそれが必要かもしれませんし、必要ではないかもしれません。
それを見極めて、内装屋さんの提案を受け入れるかどうか、自分の判断で決定するわけです。
けれども、実際には、内装屋さんのセールストークをそのまま聞いてしまって、
「ああ、それでいきましょう」
と、お金をかけてしまう人が多いのではないでしょうか。
これは、その人が「客頭」になっている証拠です。
つまり、「客頭」というのは、本当に商売に必要かどうかを考えもせずに、相手の商人の言うがままになってしまい、あたかもお客さんと同じような状態になっていることを指しているのです。
「商人頭」が足りなくて「客頭」になっていることの実際の例として、一人さんを私たちにこんな話をよくしてくれます。
例えば、自分が店を経営しているとして、そこへ、ある商品の営業マンが来て、
「この商品は、今売り出し中なんですけど、おたくでも置きませんか」
と言ってくることがあります。あるいは、
「この商品におまけをつけますから・・・・・」
ということもあるでしょう。
一人さんによれば、もうこの時点で、
「この人は、営業マンの客にされている」
ということになるのです。
一般的に言って、本当によく売れる商品というのは品数が足りなくなりますから、入手困難な場合が多いはずです。
それなのに、向こうから安売りしたり、おまけをつけたりというのは、それが売れる商品ではないからだと考えることができます。
それならば、そんな商品を仕入れるのを止めるのが「商人頭」です。
ところが、「安いし、おまけまでついて得だね」ってと思ってしまうのが、「客頭」ということになります。
この人は、こんな「売れもしない商品」でも、安売りおまけでつれば買うかもしれないと、この営業マンに思われているわけです。
つまり、商人ではなく、お客さんとして見られているということになるのです。
一人さんの言っている「商人が客にされる」とは、こういうことを意味しています。
商人が客になっては、商売が成り立つはずはありません。
「客頭」ではなく「商人頭」でいられるように、しっかりとしたプロ意識を持ちたいものです。
斎藤一人さんの話を纏めました。
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